セキセイインコ

セキセイインコ：愛らしい小型インコの世界

セキセイ[インコ]は、オーストラリア原産の小型のインコです。その美しい羽色と愛らしい鳴き声、そして高い学習能力から、世界中でペットとして人気を博しています。本記事では、セキセイインコの生態、飼育方法、様々な種類、そして病気などについて詳しく解説します。

生態

セキセイインコは、オーストラリア内陸部の乾燥地帯に生息し、木々がまばらに生えた原野を好みます。群れを作って生活し、主に地上で植物の種子を食べて生活しています。真昼の日差しが強い時間帯はあまり活動せず、早朝や夕方に採餌や水浴びを行います。繁殖期はほぼ一年中ですが、雨季には特に活発に繁殖活動を行い、個体数が増加することもあります。樹洞や節穴などを巣として利用します。

特徴

成鳥の体長は18～23cmで、スズメよりやや大きめです。野生種は頭部が黄色で、頭上から後頭部にかけて黒い横縞模様が入るのが特徴です。オスとメスは外見上の違いはほとんどありませんが、成鳥になると鼻孔を包む蝋膜の色で区別できます。オスは青色、メスは褐色になります。また、若鳥は額まで縞模様が伸びていますが、成鳥になると額の縞模様はなくなります。体重は30～40g程度です。

名称の由来

和名の「セキセイインコ」は、日本に最初に渡来した個体の背中の黄色と青色に由来すると言われています。漢字では「背黄青鸚哥」と表記されます。英名のbudgerigarは、オーストラリア先住民のアボリジニの言葉に由来しており、「黄色い頭」や「小さな頭」、「良いオウム」といった意味を持つとされています。

人間との関係

セキセイインコは、ペットとして人気が高く、ジュウシマツやブンチョウと並んで広く飼育されています。現在では、色や模様のバリエーションが5000種以上に及ぶほど品種改良が進んでいます。ハゴロモセキセイインコなど、独特の羽衣を持つ品種も存在します。

セキセイインコは比較的丈夫な鳥ですが、適温は20～30度で、雛や病気の個体は30度程度に保つことが望ましいです。寿命は平均7～8年ですが、適切な飼育環境と健康管理を行うことで、13～15年生きる個体もいます。ギネス記録では30歳まで生きた個体が確認されています。

小型インコの中でも特に高い学習能力を持ち、100種類以上の単語を覚える個体も記録されています。中には「桃太郎」などの長文を話す個体もいるほどです。飼い主の住所や氏名を覚え、迷子になっても自宅に帰ることができたという例もあります。オスの方がメスよりも学習能力が高い傾向があります。生後4ヶ月頃から言葉を覚えさせるのが良いとされていますが、最初の単語を覚えるには根気が必要です。手乗りで単独飼育の場合に学習効果が高まります。

一方、ペットとして飼育されていたセキセイインコが逃げ出して野生化している地域もあり、日本でも都市部の川原などで群れが目撃されることがあります。

セキセイインコの体臭

セキセイインコは、頬や頭からバターや穀物のような特有の芳香を放つことが知られています。この体臭は、食べている餌の匂い、もしくは尾羽の付け根から分泌される油が原因と考えられています。雌は発情期になると、尾脂腺から分泌されるアルカノールによって独特の臭いを発します。雄もアルカノールを分泌しますが、そのブレンドが異なるため、雌とは異なる臭いになります。体臭の強さは個体差が大きく、ほとんど臭いのしない個体も存在します。

マクロラブダス（メガバクテリア）症

マクロラブダス（Macrorhabdus ornithogaster）は、鳥類に広く感染する真菌の一種です。セキセイインコを含む一部の鳥では、重篤な症状を引き起こすことがあります。嘔吐、膨羽、傾眠、体重減少、黒色便、食欲不振などが症状として挙げられますが、必ずしも全てが現れるわけではありません。糞便検査で診断され、抗真菌剤による治療が行われます。抗生剤は効果がありません。

セキセイインコの種類

セキセイインコには、野生種に近い並セキセイインコから、様々な品種改良によって生み出された多くの種類が存在します。パイド、オパーリン、ハルクイン、セルフ、ウイング、赤目系、大型セキセイ、巻き毛セキセイなど、それぞれに特徴的な羽色や模様を持っています。

飼育

セキセイインコは比較的飼育しやすい鳥ですが、適切な温度管理、栄養バランスの良い餌、清潔な飼育環境などを維持することが重要です。定期的な健康チェックも忘れずに行いましょう。

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