セシル・スコット・フォレスター

セシル・スコット・フォレスター（Cecil Scott Forester, 1899年8月27日 - 1966年4月2日）は、海洋冒険小説で名を馳せたイギリスの小説家です。本名はセシル・ルイス・トラウトン・スミス（Cecil Louis Troughton Smith）。

生涯

フォレスターはカイロで生まれ、複雑な家庭環境の中で育ちました。ロンドンの大学で医学を学びましたが、中退しています。1926年にキャスリン・ベルチャーと結婚し、2人の息子をもうけましたが、1945年に離婚。長男のジョン・フォレスターはサイクリング活動家として知られ、父の伝記を執筆しました。1947年にはドロシーという女性と再婚しています。第二次世界大戦中は、イギリスとアメリカの同盟を促進するためのプロパガンダ活動に従事し、カリフォルニア州バークレーに移住しました。晩年は動脈硬化症に苦しみながらも、執筆活動を続けました。

ホーンブロワーシリーズ

フォレスターの最も有名な作品は、ナポレオン戦争時代の海軍士官ホレイショ・ホーンブロワーを主人公とする全11巻のシリーズです。緻密な時代考証と臨場感あふれる海戦描写で、多くの読者を魅了しました。このシリーズは、パトリック・オブライアンの『英国海軍の雄 ジャック・オーブリーシリーズ』と並び称されることもあります。ホーンブロワーのモデルについては、トマス・コクランとする説が有力ですが、ジェームズ・アレクサンダー・ゴードンとする研究者もいます。

主な著書

ホーンブロワー・シリーズ（物語順）
『海軍士官候補生』Mr. Midshipman Hornblower (1950年)
『スペイン要塞を撃破せよ』 Lieutenant Hornblower (1952年)
『砲艦ホットスパー』 Hornblower and the Hotspur (1962年)
『トルコ沖の砲煙』 Hornblower and the Atropos (1953年)
『パナマの死闘』The Happy Return (1937年)
『燃える戦列艦』 Ship of the Line (1938年)
『勇者の帰還』 Flying Colours (1938年)
『決戦！ バルト海』The Commodore (1945年)
『セーヌ湾の反乱』 Lord Hornblower (1946年)
『海軍提督ホーンブロワー』Admiral Hornblower in the West Indies (1958年)
『ナポレオンの密書』 Hornblower During the Crisis (1967年)：未完

その他
『終わりなき負債』 Payment Deferred (1926年)：推理小説
『たった一人の海戦』 Brown on Resolution (1929年)：第一次世界大戦の海戦もの
『青銅の巨砲』 The Gun (1933年)：半島戦争を背景とした小説
『アフリカの女王』 The African Queen (1935年)：1951年に映画化
『鬼将軍』 The General (1936年)：第一次世界大戦を背景とした小説
『非情の楽園』The Earthly Paradise (1940年)：コロンブスの三度目の航海を背景にした歴史小説
『巡洋艦アルテミス』 The Ship (1943年)：第二次世界大戦の海戦もの
『駆逐艦キーリング』The Good Shepherd (1955年)：第二次世界大戦を背景とした小説。2020年、『グレイハウンド』として映画化
『決断 - ビスマルク号最後の9日間』 The Last Nine Days of the Bismarck (1959年)：海戦もの。『ビスマルク号を撃沈せよ!』として映画化

フォレスターの作品は、冒険小説としての面白さはもちろん、歴史的な背景や海戦の描写など、多岐にわたる魅力を持っています。彼の作品は、今もなお多くの読者に愛され続けています。

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