セスナ

セスナ・エアクラフト・カンパニーの概要

セスナ・エアクラフト・カンパニー（Cessna Aircraft Company）は、1927年にアメリカのカンザス州ウィチタで創設されました。設立者でありスタントパイロットでもあったクライド・セスナは、飛行機を自ら設計し、数々の記録を樹立しました。特に、彼は1925年にビーチクラフトの創立者と共にトラベルエアを設立するも、設計方針の違いから独立し、セスナ社を設立しました。

当初、セスナ社は小型単発機の製造に特化していましたが、その後大恐慌によって一時解散の危機に見舞われました。しかし1934年には甥のドゥエイン・ウォレスの支援を受け、業務を再開。彼が社長に就任することで、その後の成長の道が切り開かれました。セスナ社は、小型航空機産業において家族経営の側面を強く持ち、手造りの要素が色濃く残っています。

軍用機から民間機へ

第二次世界大戦中、セスナ社は多くの軍用機を供給しました。特に、AT-17ボブキャットは米軍の練習機として大いに活躍し、5,400機が生産されました。戦後はすぐに民間機の製造に転じ、復員パイロットの需要に応える形で「空のファミリーカー」として知られる単発機シリーズを生み出しました。

この時期、1963年には50,000機目、1975年には100,000機目の軽飛行機を出荷するなど、数多くのモデルが生産されました。しかし1980年代、製造物責任（PL）法が施行されると、セスナ社も事故や不具合に関する訴訟の対象になるなど、厳しい状況に直面。1986年には軽飛行機の生産を中止せざるを得なくなり、従業員も大幅に減少しました。

ビジネスジェットの成功

その後も、セスナ社はビジネスジェットやユーティリティ機に注力し、サイテーションシリーズやモデル208キャラバンなどで商業的成功を収めました。特に、モデル208はターボプロップ機としての特性を活かし、フェデラル・エクスプレスの輸送機として採用されました。さらに、PL法の改正を促す活動も行い、1994年に一般航空の再生法が制定される運びとなりました。

この法案の成立を受け、セスナ社は1996年に新たな軽飛行機工場を設立し、モデル172スカイホークや182スカイレーンなどの生産を再開しました。現在でも、これらのモデルは数多くのユーザーに支持されています。

日本における展開

日本では、1951年から野崎産業がセスナの代理店を務め、1999年以降は川鉄商事に権利が移管されました。2004年には伊藤忠商事系列の日本エアロスペースに業務が移され、官公庁向けには2015年から兼松が代理店となっているなど、セスナ社の製品は日本においても広く利用されています。

まとめ

セスナ・エアクラフト・カンパニーは、米国の航機業界における重要なプレイヤーであり、数多くのモデルを通じて軽飛行機の代名詞的存在となっています。その歴史の中で、空のファミリーカーの概念やビジネスジェットの成功を実現し、今もなお航空機市場において固い地位を築いています。

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