セッションハウス

東京都新宿区神楽坂に拠点を構えるセッションハウスは、舞踊芸術に特化した小劇場であり、その運営を担う企業としての側面も持ち合わせています。ダンスを中心とした多様な表現活動を支援し、国内外のアーティストと観客を結ぶ場を提供しています。

施設は二つの主要な空間から構成されています。2階には「ガーデン」と呼ばれる多目的スペースがあり、様々な用途に利用可能です。地下1階の「アートスペース」は、平日はダンスレッスン用のスタジオとして活用され、週末は劇場へと姿を変え、多彩な公演が行われています。この二面性が、日々の学びと創造的な発表の場を両立させています。

セッションハウスは、国内はもとより世界各国から著名な舞踏家やカンパニーを招聘しています。これにより、日本のアーティストや観客が、世界の最先端のダンス表現や技術に触れる貴重な機会を提供しています。このような国際的な交流を基盤として、未来を担う若手ダンサーの育成や、ダンス芸術を社会により広く浸透させることを目的とした活動を展開しています。

これらの目標を恒常的に実現するため、セッションハウスは独自のスタッフ体制である「セッションハウス企画室」を設けています。企画室は様々なダンスプログラムの企画・運営を担い、「ダンスのための小劇場」としての機能を支えています。

提供されるプログラムは多岐にわたります。地下1階のアートスペースでは、経験豊かな舞踏家によるダンスクラスが日常的に開かれており、伊藤直子（代表）、青田潤一、富野幸緒、尾本安代、近藤良平といった著名な講師陣が指導にあたっています。また、国内外の様々なダンサーを招いた期間限定のワークショップも実施されており、高度な技術やユニークな表現方法を学ぶ機会となっています。

公演活動においては、いくつかの特徴的なプロジェクトを展開しています。

主要公演としては、セッションハウスのレジデンス・カンパニーとして活動する非営利芸術団体「マドモアゼル・シネマ」の公演や、観客との対話を重視したダンス創作を目指す振付家・ダンサー・スタッフの集団である「リンゴ企画」（コンドルズの近藤良平が芸術監督を務める）による企画、そしてコンテンポラリー・ダンスが地域や社会に貢献する可能性を探求し、作品創作やワークショップの方法論を若い世代に継承することを目的とした「育てて、外へ」などがあります。

また、アーティストの支援や発表の場を創出する企画も充実しています。企画室主催プログラムへの参加経験者を対象に、単独公演の全面的なサポートを提供する「D ZONE」や、企画室主催のノンセレクション公演に参加したアーティストが、作品のさらなる成熟や飛躍を目指して再演などに挑戦する「ダンス花」といったセレクション公演があります。

さらに、より多くのアーティストに門戸を開くノンセレクション公演として、公募による小作品集シリーズ「シアター21・フェス」があります。これは、作品発表の第一歩や実験的な試みを行う「ライブな実験の場」として位置づけられており、発表時間に応じて「シアター21フェス」（10分）、「シアター21フェス・ステップアップ」（15分）、「シアター21フェス・アドバンス」（最大40分）の三つの区分に分かれています。

次世代の舞踊家を育成・支援するプログラムとしては、学生を対象とした「UDC」（ユニバーシティ・ダンス・クロス）が挙げられます。これは、全国の大学からダンスを学ぶ学生が集結し、単に技量を競い合うのではなく、芸術性を追求する「共演」に重点を置いた企画です。2002年の「旅」を皮切りに、「出逢い」「交差点」「YELL」など、毎年異なるテーマのもとに開催され、多くの大学が参加しています。

セッションハウスは、レジデンスアーティスト制度も導入しており、2004年度以降、国内外の多様な舞踏家たちがこの劇場を拠点に創造活動を行ってきました。この制度や、前述した様々なプログラムを通じて、セッションハウスは日本はもとより世界で活躍する数多くのダンサーを輩出してきました。彼らの活動は、日本のダンス界の裾野を広げ、その発展に大きく貢献しています。

神楽坂のセッションハウスは、ダンスの創造・発表・教育・交流の拠点として、舞踊芸術の豊かな未来を育んでいます。

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