セッター (猟犬)

セッター（Setter）

セッターは、イギリスを発祥とする、長くなめらかな被毛に覆われた中型の犬種グループを指します。主に鳥類を対象とした狩猟犬として古くから活躍してきました。その名の由来は、彼らが持つ独特の狩猟スタイルにあります。獲物となる鳥の存在を察知すると、セッターはその場で動きを止め、獲物をじっと見据える体勢、すなわち「セット（Set）」と呼ばれる姿勢をとることから、この名がつけられました。

セッターの高い能力は、単に獲物を見つけるだけに留まりません。卓越した集中力を持つ個体は、複数の獲物を同時に視線で捉え、まるで地面に縫い付けられたかのように動けなくする驚くべき技を見せます。この「セット」の姿勢を保ちながら、主人の指示を待ち、合図があれば指定された一羽だけを飛び立たせるなど、状況に応じて的確に行動し、主人の狩りを効率的にサポートします。その優れた能力と従順さは、鳥猟犬として非常に高く評価されています。

セッターと一口に言っても、その中にはいくつかの異なる品種が存在します。代表的なものとしては、優雅な姿で知られるイングリッシュ・セッター、黒とタンの毛色が特徴的なスコットランド原産のゴードン・セッター、鮮やかなマホガニーレッドの被毛を持つアイルランド原産のアイリッシュ・セッター、そして白地に赤の斑が入る、アイリッシュ・セッターの古いタイプとされるアイリッシュ・レッド・アンド・ホワイト・セッターなどが挙げられます。それぞれの品種は、独自の歴史と特徴を持ちながらも、鳥猟犬としてのセッター本来の能力と気質を受け継いでいます。

日本国内の畜犬団体であるジャパンケネルクラブ（JKC）においては、この犬種の表記として「セター」が用いられることもあります。狩猟犬としての輝かしい歴史を持つセッターは、現代においてもその美しい容姿と賢さ、そして人間に対する深い愛情から、家庭犬としても多くの人々に愛されています。

関連項目

* 犬の品種一覧

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