セットとセッティングとは？意味をやさしく解説

セットとセッティング：幻覚剤体験を左右する要因

「セットとセッティング」とは、主に幻覚剤などの向精神薬による体験を説明する際に用いられる概念です。具体的には、個人の精神状態である「セット」と、体験時の物理的・社会的な環境である「セッティング」の組み合わせが、体験の質に大きく影響するという考え方を指します。この用語は、ノーマン・ジンバーグによって提唱され、サイケデリック療法の研究者を中心に広く受け入れられてきました。

セット：個人の精神状態

「セット」とは、体験に臨む個人の精神状態、つまり思考、気分、期待などを指します。例えば、ポジティブな気持ちで、リラックスして体験に臨む場合と、不安や恐怖を感じながら体験する場合とでは、結果が大きく異なる可能性があります。

セッティング：体験時の環境

「セッティング」とは、体験が行われる物理的・社会的な環境を指します。具体的には、場所の雰囲気、周囲にいる人々の存在、社会的なサポート体制などが含まれます。特に、社会的な支援ネットワークは、サイケデリック体験の結果に重要な影響を与えることが示唆されています。

セットとセッティングの相互作用

セットとセッティングは互いに影響し合い、体験の質を左右します。ストレスや恐怖を感じる状況、不快な環境は、不快な体験（バッドトリップ）につながる可能性があります。逆に、快適で安全な場所で、リラックスし、好奇心旺盛な状態で体験に臨むことで、心地よい体験を得られる可能性が高まります。

ティモシー・リアリーの研究

ティモシー・リアリーは、幻覚剤の反応は化学物質そのものよりも、セットとセッティングによって大きく左右されると主張しました。特に、セッティングにおける他者の行動が重要であると指摘しています。また、十分な準備と適切なセットが整っていれば、セッティングの影響は小さくなるとも述べています。彼は、DMTを用いた実験において、セットとセッティングを管理することで、通常は恐怖を引き起こすとされるDMTが、支援的な環境下では心地よい体験を生み出すことを示しました。

薬理学を超えた理論

アンドルー・ワイルは、セットとセッティングの理論は薬理学の理論を超越していると指摘しています。同じ薬物を摂取しても、ハイになるために多く摂取する人と、少量でも毒キノコと思い込んで気分が悪くなる人がいるのは、セットが作用に影響を与えているためだと説明しています。初めての体験や、多量の服用は、特にセットの影響を受けやすいとされています。

宗教的な観点からの研究

セットとセッティングは、宗教的な観点からも研究されています。変性意識状態における体験は、個人の信仰や精神性、そして環境との相互作用によって大きく左右されると考えられています。

まとめ

セットとセッティングは、幻覚剤体験を理解する上で非常に重要な概念です。安全で快適な環境を整え、心の準備をしっかりと行うことで、より良い体験を得られる可能性が高まります。トリップシッターの存在も、安全な体験をサポートする上で重要です。

セットとセッティング