セット・オン・ユー

セット・オン・ユー (Got My Mind Set on You)

「セット・オン・ユー」（原題: Got My Mind Set on You）は、ルディ・クラークによって作曲された楽曲で、1962年にジェームス・レイによって「I've Got My Mind Set on You」というタイトルで初めてレコーディングされました。ダイナミック・サウンドから発売されたこのシングルには、ハッチ・デイヴィ率いるオーケストラと合唱団が参加しました。

ジョージ・ハリスンによるカバー

1987年、ジョージ・ハリスンがこの曲をカバーし、Billboard Hot 100で第1位、全英シングルチャートで第2位を獲得する大ヒットとなりました。このカバーバージョンは、ハリスンの音楽キャリアにおいて重要な位置を占めています。

カバーに至る経緯

1963年9月、ジョージ・ハリスンはイリノイ州ベントンに住む姉のもとで2週間を過ごしました。その際、地元のレコード店で様々なレコードを購入しましたが、その中にジェームス・レイが1962年に発売したアルバムが含まれていました。ハリスンはレイのアルバムを聴いて、「セット・オン・ユー」以外の曲は「本当にひどい」と感じたそうです。

ビートルズ時代にもこの曲のカバーを検討したことがありましたが、ジョン・レノンとポール・マッカートニーのオリジナル曲が中心になったため、実現には至りませんでした。

レコーディング

1987年1月、ジェフ・リンとの共同プロデュースでアルバム『クラウド・ナイン』の制作を開始。ハリスンの自宅スタジオでレコーディングが行われ、「セット・オン・ユー」のカバーもこの時に録音されました。セッションには、ジェフ・リン（ベース、キーボード）、ジム・ケルトナー（ドラム）、ジム・ホーン（サクソフォーン）、レイ・クーパー（パーカッション）が参加しました。

リリースとチャート成績

ハリスンの「セット・オン・ユー」は、アメリカで1987年10月3日に、イギリスで1987年10月12日にシングル盤として発売されました。B面には、1981年のアルバム『想いは果てなく〜母なるイングランド』からのアウトテイク「レイ・ヒズ・ヘッド」が収録されました。

Billboard Hot 100では第1位を獲得し、全英シングルチャートでは最高位2位を記録。元ビートルズのメンバーによるシングルチャート首位獲得は、本作が最後となりました。1987年11月に発売されたアルバム『クラウド・ナイン』には、最後の曲として収録されています。

その後

ハリスンのバージョンは、1989年のコンピレーション・アルバム『ダーク・ホース 1976-1989』や、2009年の『レット・イット・ロール ソングス・オブ・ジョージ・ハリスン』にも収録されています。また、1992年のライブ・アルバム『ライヴ・イン・ジャパン』にはライブ音源が収録されました。

ミュージック・ビデオ

「セット・オン・ユー」のミュージック・ビデオは2種類制作され、どちらもゲイリー・ウェイスが監督を務めました。1988年のMTV Video Music Awardsでは、最優秀男性ビデオ賞にノミネートされています。

2010年には、ハリスンの楽曲を対象としたAOL Radioのリスナー投票で第4位にランクインしました。

クレジット

ジョージ・ハリスン - ボーカル、ギター
ジェフ・リン - ベース、キーボード
ジム・ケルトナー - ドラム
ジム・ホーン - サクソフォーン
* レイ・クーパー - パーカッション

パロディ

アル・ヤンコビックが1988年に発売したアルバム『Even Worse』に、この曲のパロディ「(This Song's Just) Six Words Long」を収録しています。

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