セブンス・コンチネント

セブンス・コンチネント (1989)

ミヒャエル・ハネケ監督のデビュー作である『セブンス・コンチネント』（独: Der Siebente Kontinent、英: The Seventh Continent）は、1989年に制作されたオーストリア映画。ロカルノ国際映画祭でブロンズレパードを受賞した。

あらすじ

映画は三部構成で、ある家族の日常を断片的に描き出す。

第1部：1987年
ごく普通の家族の生活が描かれる。夫は職場での上司との軋轢、妻は心を病んだ弟を抱え、それぞれが問題を抱えながらも、平穏な日々を送っている。娘は学校で目が見えないふりをする。

第2部：1988年
夫は上司との問題を解決し、昇進を果たす。家族で出かけた際、事故現場に遭遇する。その後、洗車場で妻は涙を流すが、一見すると何も変わった様子はない。

第3部：1989年
夫は突然仕事を辞め、夫婦は「オーストラリアに移住する」と告げて、銀行預金をすべて引き出す。一家は購入した工具で家の中の物を破壊し始める。家具や家電、本、アルバムなどを容赦なく打ち壊していく。しかし、娘が飼っていた熱帯魚の水槽が壊されたとき、娘は初めて感情をあらわにする。一家は金をトイレに流し、遺書を残した後、唯一残ったテレビを観ながら毒を飲み、静かに息絶える。

キャスト

ビルギット・ドル
ディータ・ベルナー

特徴

ハネケ監督独特の冷徹な視点と、抑制の効いた演出が特徴。何気ない日常の描写を通して、現代社会の病巣を浮き彫りにする。家族の崩壊をドラマチックに描くのではなく、淡々と、しかし確実に進行していく様子を描くことで、観る者に深い衝撃を与える。

一家が物を破壊するシーンは、彼らの内なる絶望と虚無感を象徴している。また、最後にテレビを観ながら死んでいく姿は、メディアに依存した現代人の姿を批判的に捉えているとも解釈できる。

外部リンク

セブンス・コンチネント - allcinema
セブンス・コンチネント - KINENOTE
Der 7. Kontinent - オールムービー（英語）
* Der Siebente Kontinent - IMDb（英語）

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