セミヨン

セミヨン：甘口白ワインを彩るブドウ品種

セミヨン（Sémillon）は、フランスのボルドー地方を原産とする白ワイン用ブドウ品種です。早生で樹勢が強く、明るい黄緑色の果皮が特徴です。ボルドーを代表する白ブドウ品種の一つであり、ソーヴィニョン・ブラン、ミュスカデルと共に、ボルドー白ワインには欠かせない存在となっています。

セミヨンの特徴

セミヨンは、果皮が薄く貴腐菌（ボトリティス・シネレア）が付きやすいという特徴を持っています。この性質が、ソーテルヌのような貴腐ワインを生み出す上で重要な役割を果たします。しかし、日差しが強すぎると皮焼けを起こしやすいため、栽培には注意が必要です。

糖度は十分に高くなりますが、酸味が少ないため、単独でワインを造ることは稀です。通常は、ソーヴィニョン・ブランなど酸味のある品種とブレンドすることで、バランスの取れた味わいを実現します。

主な産地

ボルドー

セミヨンは、ボルドー地方で最も重要な白ブドウ品種の一つです。特にソーテルヌ地区では、貴腐ワインの主要品種として栽培されており、甘美で複雑な味わいを生み出しています。ソーテルヌの貴腐ワインは、セミヨンの持つ貴腐菌への親和性と、栽培地の気候条件が合わさることで生まれる、まさに自然の恵みと言えるでしょう。

ボルドー以外のフランス

ボルドー以外では、ドルドーニュ県のモンバジャックや、ピレネー・アトランティック県のジュランソンなど、アキテーヌ地方のワイン産地で、ソーテルヌと同様の甘口白ワインが造られています。

フランス以外

19世紀初頭には、オーストラリアや南アフリカなどにも導入され、20世紀半ばには主要な白ワイン品種として広く栽培されていました。しかし、1980年代頃から、辛口でコクのあるシャルドネの人気が高まり、現在ではオーストラリア、ニュージーランド、チリの一部でのみ栽培されています。

セミヨンから造られるワイン

セミヨンは、その特徴から様々なタイプのワインに用いられます。

甘口ワイン: ソーテルヌなどの貴腐ワインが代表的です。蜂蜜やアプリコットのような甘美な香りと、とろりとした舌触りが特徴です。
辛口ワイン: ソーヴィニョン・ブランとブレンドされることが多く、柑橘系の爽やかな香りと、程よい酸味が楽しめます。熟成によって複雑味を増すものもあります。

まとめ

セミヨンは、甘口ワインの主要品種として知られていますが、辛口ワインにも用いられるなど、多様な可能性を秘めたブドウ品種です。ソーテルヌのような世界的に有名なワインから、日常的に楽しめるワインまで、セミヨンを使用したワインは幅広く存在します。機会があれば、ぜひ様々なセミヨンワインを試してみてください。

関連項目

ブドウ品種の一覧
ブドウ
ソーテルヌ
シャトー・ディケム
* ワイン用ブドウ品種の一覧

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