セランガンバツ

セランガンバツとは

セランガンバツ（Selangan batu）は、ボルネオ島、特にインドネシアの東カリマンタン地域を原産とするフタバガキ科の広葉樹の総称です。この木は、その強度と耐久性から、建築や家具など様々な用途で利用されています。

様々な呼び名

セランガンバツは、地域や言語によって異なる名前で呼ばれています。例えば、マレー語やインドネシア語では「バラウ（Balau）」、ビルマ語では「ティッヤー（သစ်ယာ）」、タイ語では「テン（เต็ง）」、クメール語では「プチャク（ផ្ចឹក /pcək/）」、ラオス語では「チック（ຈິກ）」、ベトナム語では「カ・チャック（cà chắc）」、フィリピンでは「ヤカール（Yakal）」、そしてインドネシアでは「バンキライ（Bangkirai）」といった名前で知られています。これらの多様な呼び名は、セランガンバツが広範囲に分布し、多くの文化圏で利用されていることを示しています。

木材としての特徴

セランガンバツの木材は、芯材と辺材の区別がはっきりしているのが特徴です。芯材は暗紫色、時に帯紫色を帯びており、非常に硬い性質を持ちます。この硬さが、セランガンバツが耐久性を求められる用途に適している理由です。

マレーシアのサバ州では、セランガンバツの木材を気乾比重によって2つのカテゴリーに分けています。具体的には、気乾比重が0.88以上のものを「スランガンバトゥ NO. 1」、0.88以下のものを「スランガンバトゥ NO. 2」と区別しています。この区別は、木材の品質や用途を判断する上で重要な指標となります。

セランガンバツの利用

セランガンバツの硬さと耐久性は、建築材料として非常に重宝されています。特に、構造材や床材、外装材など、強度と耐候性が求められる場所での利用が多いです。また、家具や建具、デッキ材としても利用され、その美しい木目と色合いは、空間に高級感と自然な温かみを与えます。

関連種と俗名

マレー語圏では、セランガンバツを俗名に持つ多くの種が存在します。

スランガンバトゥダウンハルス（Shorea superba Symington）：細い葉を持つスランガンバツで、「細い葉のスランガンバツ」あるいは「魚の骨のスランガンバツ」とも呼ばれます。
スランガンバトゥラウト（Shorea falciferoides Foxw. subsp. glaucescens (Meijer) P.S.Ashton）：海辺に生息するスランガンバツで、「海のスランガンバツ」とも呼ばれます。
クムス（Shorea laevis Ridl.）：セランガンバツの一種で、「セランガンバツクムス」とも呼ばれます。
ギホ（Shorea guiso (Blanco) Blume）：赤い色を帯びたスランガンバツで、「赤いスランガンバツ」とも呼ばれます。
スランガンバトゥテンバーガ（Shorea exelliptica Meijer）：銅色の光沢を持つスランガンバツで、「銅のスランガンバツ」とも呼ばれます。
テンカワンアエル（Shorea seminis (de Vriese) Slooten）：笠のような形状が特徴的なスランガンバツで、「笠のスランガンバツ」とも呼ばれます。

これらの多様な種は、それぞれが異なる特性を持ち、用途に応じて使い分けられています。

まとめ

セランガンバツは、ボルネオ島原産のフタバガキ科の広葉樹であり、その硬さと耐久性から、建築や家具など幅広い用途で利用されています。地域や言語によって様々な名前で呼ばれ、多くの文化圏で重宝されてきました。木材としての特性を理解し、適切に利用することで、その価値を最大限に引き出すことができるでしょう。

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