セリエA (サッカー) 1931-1932

セリエA 1931-1932シーズン概要

セリエA 1931-1932シーズンは、イタリアのサッカーリーグの歴史において特別な意味を持つ節目のシーズンの一つです。1898年に始まった国内選手権大会のトップカテゴリーとしては第32回目を数え、特に1929-30シーズンから採用された全国規模の単一リーグ制、いわゆる「セリエA」としては、これが3シーズン目の開催となりました。このリーグ形式は、それまでの地域別のリーグ戦から脱却し、イタリア全土の強豪クラブが一堂に会して真の国内チャンピオンを決定するという、現代にも繋がるイタリアサッカーの礎を築くものでした。

参加チームの変動

前シーズンである1930-31シーズンを終え、セリエBへの降格を余儀なくされたのは、リヴォルノとレニャーノの2クラブでした。彼らは来シーズンでのトップリーグ復帰を目指すこととなりました。一方、セリエAへの昇格を果たし、新たに最高峰の舞台に挑んだのは、フィオレンティーナとバーリの2チームです。特にフィオレンティーナにとっては、このシーズンがセリエAでの重要な第一歩となりました。

ユヴェントスの連覇

この1931-32シーズンの最大のハイライトは、ユヴェントスの圧倒的な強さでした。ディフェンディングチャンピオンとしてシーズンに臨んだビアンコネーリ（ユヴェントスの愛称）は、見事にその実力を証明し、2シーズン連続でのリーグ優勝、すなわちスクデット獲得を成し遂げました。これはクラブにとって通算4回目の国内タイトル獲得であり、彼らがこの時代のイタリアサッカーを牽引する存在であることを改めて示すものでした。ユヴェントスの連覇は、組織力とタレントの融合によるものでした。

得点王争い

個人の活躍に目を向けると、このシーズンは得点王争いも白熱しました。ゴールネットを最も揺らした選手としてタイトルを分け合ったのは、昇格組ながら躍進を見せたフィオレンティーナに所属するペドロ・ペトローネと、イタリアサッカーの古豪ボローニャのエースストライカー、アンジェロ・スキアビオの二人です。彼らはそれぞれが類稀なる得点能力を発揮し、チームの攻撃を牽引しました。複数の選手が得点王となることは、当時のリーグの競争の激しさを物語っています。

順位決定基準

シーズンを通して各チームはスクデット、そしてセリエB降格回避を目指して戦いました。最終的な順位は、まず獲得した勝ち点の合計によって決定されました。勝ち点が並んだ場合は、得失点差が次の決定基準となります。そして、それでも順位が定まらない場合には、シーズン中の総得点数が考慮されるという方式が採用されていました。この基準に基づき、厳密に各チームの年間成績が評価されました。

降格を巡る戦い

シーズン終了後、セリエBへの降格圏を巡って特別な状況が発生しました。リーグ戦を16位で終えたバーリとブレシアが同勝ち点となり、降格枠の一つを決定するためにプレーオフを実施する必要が生じたのです。この重要な一戦は、どちらのチームにとってもトップリーグ残留をかけた運命の一戦となり、中立地であるボローニャで開催されました。このプレーオフの結果によって、セリエBへ降格する最後のチームが決定されました。

シーズン全体の意義

セリエA 1931-32シーズンは、単一リーグ制が定着しつつあったイタリアサッカーにおいて、戦術、技術、そしてスター選手たちの輝きが融合した時代を象徴するシーズンの一つと言えるでしょう。ユヴェントスの連覇、新たなチームの登場、そして個人タイトルを巡る熱戦や降格回避のための熾烈な争いは、この時代のイタリアサッカーのダイナミズムを色濃く反映しています。このシーズンを通して、イタリアサッカーはさらに発展し、その人気と影響力を高めていきました。

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