セルピコ

映画『セルピコ』の概要

『セルピコ』（原題: Serpico）は、1973年に公開されたアメリカ・イタリア合同の映画で、シドニー・ルメットが監督を務めました。この作品は、ニューヨーク市警察に根深く存在する汚職と腐敗に立ち向かう警察官フランク・セルピコの真実の物語をもとにしています。主演はアル・パチーノが務め、彼はセルピコが直面する困難さや内面的葛藤を見事に演じており、観客に強いメッセージを伝えています。

制作の背景

映画の原作は、ジャーナリストのピーター・マースによって執筆されたフランク・セルピコの伝記です。この伝記を映画化する提案を受けたマーティン・ブレグマンが中心となり、製作がスタートしました。当初、監督にはジョン・G・アヴィルドセンが予定されていましたが、彼とブレグマンの間で作品の方向性に関する対立が生じ、最終的にシドニー・ルメットが監督に起用されました。

1973年12月5日に公開された本作は、全米で約2980万ドルの興行収入を記録しました。アル・パチーノはこの映画での演技により、1973年度のゴールデン・グローブ賞（ドラマ部門）とナショナル・ボード・オブ・レビュー賞で主演男優賞を受賞しました。しかし、アカデミー賞では主演男優賞と脚色賞にノミネートされたものの、受賞には至りませんでした。

フランク・セルピコの闘い

映画の中でパチーノが演じるフランク・セルピコは、警察組織内の腐敗と戦い続けます。彼は1971年に腐敗に立ち向かう勇敢な警察官として知られ、バッジナンバー5566を持つことで有名になりました。2003年にはアメリカン・フィルム・インスティチュートによって選ばれたアメリカ映画100年のヒーローと悪役において、セルピコがヒーロー部門で第40位にランクインしました。

ストーリー

映画は、雨の降る寒い夜、重傷を負ったフランク・セルピコが救急病院に運び込まれる場面から始まります。彼はニューヨーク市警の麻薬課の刑事で、捜査中に同僚の警官に銃撃され負傷したのです。上司は、彼を狙っていた警察官の名前を挙げてもいますが、その背景にはセルピコが組織内で敵を抱えていた理由が潜んでいます。物語は、彼の警察学校の卒業式まで遡り、どのようにして彼が腐敗に対する正義の戦士として立ち上がることになったのかが描かれています。

キャストと評価

本作のキャストには、アル・パチーノ以外にもデヴィッド・バーニーやバート・ヤングなどさまざまな実力派俳優が参加しています。日本でも「アウトロー刑事・セルピコ」として1976年にドラマ化されるなど、広く影響を与えた作品です。

この映画は、警察の倫理や社会的な正義のあり方を問い直す作品でもあり、観客に深い考察を促します。映画『セルピコ』は、単なる娯楽作品にとどまらず、多くの視聴者に強烈なインパクトを残す名作として評価されています。

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