セントラル山脈

「セントラル山脈」、あるいは「セントラル山系」という名称は、特定の地域だけを指すものではなく、地球上の複数の場所に存在する異なる地理的特徴に対して用いられています。これらの名称を持つ主な山系や山脈は以下の通りです。

イベリア半島のセントラル山系

まず、イベリア半島には、スペインとポルトガルの国境を跨ぐ広大な山系が存在し、これが「セントラル山系」（スペイン語ではCordillera CentralやSierra Central、Sistema Centralとも表記されます）と呼ばれています。この山系は、著名なグアダラマ山脈などを包含しており、その最高地点は標高2,592メートルを誇るアルマンソール峰です。

南米アンデス山脈のセントラル山脈

南米大陸に目を転じると、世界有数の大山脈であるアンデス山脈の一部にも「セントラル山脈（アンデス）」と呼ばれる区画があります。主にコロンビアとペルーの国土に広がるこの山脈は、時に「キンディオ山脈」という別称で知られることもあります。そこには、常に雪を頂くかのような標高5,000メートルを超える高峰が数多くそびえ立っており、そのスケールの大きさがこの山脈の特徴となっています。

中央アメリカ・コスタリカのセントラル山脈

中央アメリカに位置するコスタリカの中央部にも、「セントラル山脈（コスタリカ）」という名の山脈が見られます。この山脈の最高峰は、標高3,432メートルのイラス火山であり、火山活動に関連する特徴を持つ地域です。

カリブ海のセントラル山脈

カリブ海に浮かぶ島々にも、同名の山脈が存在します。

イスパニョーラ島：西インド諸島に属し、中央部を走る山脈が「セントラル山脈（イスパニョーラ島）」と呼ばれています。この山脈はドミニカ共和国の領域内にあり、標高3,175メートルのドゥアルテ峰を最高地点としています。
プエルトリコ島：同じく西インド諸島にあるプエルトリコ島にも「セントラル山脈（プエルトリコ島）」という山脈があります。こちらの最高峰は標高1,338メートルのプンタ山であり、他の同名山脈と比較すると標高は控えめです。

フィリピン・ルソン島のセントラル山脈

太平洋西部のフィリピン諸島においては、主要な島の一つであるルソン島の北部を占める大きな山脈が「セントラル山脈（ルソン島）」と呼ばれています。この山脈の最高峰は標高2,929メートルのプログ山です。なお、フィリピン全体の最高峰は、ミンダナオ島にある標高2,954メートルのアポ山であり、セントラル山脈のプログ山はそれに次ぐ高さを持っています。

このように、「セントラル山脈」または「セントラル山系」という名前は、イベリア半島の広大な山系から、南米アンデスの高峻な山脈、中央アメリカやカリブ海の島々の山並み、さらには東南アジアの島の山脈まで、世界の様々な地域で、それぞれ異なる地理的・地質的特徴を持つ山々に対して使われています。これらの名称の重複は、地理的命名における興味深いつながりを示しています。

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