セント・バーナード

セント・バーナード

概要

セント・バーナード（英: St. Bernard）は、スイスを起源とした犬種で、非常に大きな体を持つことが特長です。成犬になると、通常の体高は65〜90cm、体重は50〜91kgにも達します。この犬種は、その温厚な性格や優れた救助能力により、多くの人々に愛されています。

歴史

セント・バーナードの起源は、ローマ帝国の軍用犬としてアルプスに持ち込まれたモロシア犬に遡ります。時が経つにつれ、特に17世紀中頃からはスイス・アルプスの修道院で雪中遭難の救助犬として重宝されてきました。この期間に、2,500名以上の遭難者を救助した実績があり、多くの絵画でもその姿が描かれています。有名な個体「バリー」は、40名もの遭難者を救助した実績があり、彼にちなんで一時この犬種が「バリー・ハウンド」とも呼ばれました。その伝説は続き、日本の東京消防庁の特別救助隊でも、この犬種を象徴するワッペンが使われています。

19世紀初めには病気や遺伝病の影響で絶滅の危機に瀕したものの、ニューファンドランド犬との交配によってその存続が図られました。1884年には、グラン・サン・ベルナール修道院に由来して「セント・バーナード」という名がつけられ、英語読みの呼び名が日本でも広まりました。

特徴

セント・バーナードは、そのサイズからも超大型犬に分類されます。2つの毛のタイプ（短毛と長毛）があり、主に「白地に赤」または「赤地に白」の色合いが見られます。性格は温和で賢く、従順でおっとりとした性質を持ちますが、寒さには強いものの暑さには弱い傾向があります。特にオスは70〜90cm、メスは65〜80cmの体高があります。

セント・バーナードの寿命は、通常8〜10年とされていますが、過去には1970年にアメリカのミシガン州で、体高99cm、体重138kgの巨体を持つ「ベネディクティン・シュヴァルツヴァルト」という個体も報告されています。

アルパイン・マスティフ

「アルパイン・マスティフ」とは、セント・バーナードの原種を指し、現在はセント・バーナードの別名としても使用されています。この犬種は、2世紀頃にモロサスタイプの犬の一種が基になっていますが、17世紀まで一つの犬種として繁殖されていました。アルパイン・マスティフは主に番犬として利用されていましたが、後にセント・バーナードの基礎となりました。

セント・バーナードが登場する作品

この犬種は多くの文学や映像作品にも登場します。エドウィン・ランドシーアの絵画『救出成功』では、セント・バーナードが樽にラム酒を入れていたという創作が広まり、後にアニメ『アルプスの少女ハイジ』の登場キャラクター「ヨーゼフ」として知られるようになりました。また、映画『ベートーベン』や小説『クージョ』といった作品でも、その存在感を発揮しています。

結論

優れた救助能力を有し、温厚な性格を持つセント・バーナードは、歴史的な背景を持ち、現代においても人々に愛され続けています。彼らは家族の一員として信頼できるパートナーです。

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