セールスフォース (企業)

セールスフォース：クラウドコンピューティングとCRMのリーディングカンパニー

セールスフォースは、顧客関係管理（CRM）システムを基盤としたクラウドコンピューティングサービスを提供する、米国カリフォルニア州に本社を置く企業です。1999年、マーク・ベニオフによって設立され、SaaS（Software as a Service）型のクラウドサービスの先駆者として、世界中にサービスを展開しています。2022年には社名をセールスフォース・ドットコムからセールスフォースに変更しました。

事業内容と市場における地位

セールスフォースは、営業支援（Sales Cloud）、顧客サービス（Service Cloud）、マーケティング（Marketing Cloud）、コミュニティ構築（Community Cloud）などのSaaSアプリケーションを提供しています。さらに、プラットフォームとしての機能（Force.com、Heroku）も備え、顧客企業は独自のアプリケーションを開発・展開することも可能です。

その高い技術力と顧客基盤から、世界的なソフトウェア企業ランキングで上位に位置づけられ、CRM市場では世界トップシェアを誇ります。日本市場においても、営業支援システム（SFA）やPaaS（Platform as a Service）市場で高いシェアを獲得しています。

企業理念と社会貢献

セールスフォースは、「1/1/1モデル」と呼ばれる独自の社会貢献活動に取り組んでいます。これは、従業員によるボランティア活動、非営利団体への製品寄贈・割引、非営利団体への助成の3つの柱から成り立ちます。この活動は、セールスフォース・ファンデーションによって管理されています。

また、CEOのマーク・ベニオフは、『世界を変えるビジネス』などの著書を通じて、企業の社会的責任を積極的に訴えています。

日本法人と国内での展開

2000年に設立された日本法人は、東京に本社を置き、全国各地に拠点を展開しています。日本郵便や大手企業をはじめ、多くの企業がセールスフォースのサービスを利用しています。

エコポイント申請システムや、定額給付金支給システムへの導入実績など、大規模なシステム構築への貢献も目立ちます。近年は、国内企業のデジタルトランスフォーメーション（DX）支援に注力しており、従業員数を大幅に増員し、新たなオフィス「Salesforce Tower」も開設しました。

製品とサービスの詳細

セールスフォースの製品は、すべてインターネット経由で提供されるクラウドコンピューティングモデルに基づいています。大規模マルチテナント型のアーキテクチャを採用することで、コスト効率の高いサービス提供を実現しています。また、年間3回の無償バージョンアップにより、顧客は常に最新の機能を利用できます。

主要な製品として、Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloud、Commerce Cloud、Lightningプラットフォームなどが挙げられます。AppExchangeと呼ばれるマーケットプレイスを通じて、外部開発者によるアプリケーションも利用可能です。

競合他社と裁判

セールスフォースは、SAPやMicrosoftなどの企業とCRM市場で競合しています。特許訴訟など、競争は激化しています。

2021年には、発達障害のある元契約社員による、合理的配慮提供拒否などを理由とする訴訟が発生しました。この訴訟は、2023年9月に和解が成立しました。和解の内容は非公開です。

人員整理と今後の展望

2023年には、グローバル規模での人員削減が行われました。日本法人でも退職勧奨による人員削減が行われ、一部社員からは退職勧奨への批判も出ています。

セールスフォースは、クラウドコンピューティングとCRM市場におけるリーディングカンパニーとして、今後も成長を続けると予想されますが、社会貢献活動と同様に、企業としての倫理的な問題への対応も課題となっています。

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