セールフォス

セールフォスは、アイスランド南部、エルフスアゥ川のほとりに位置する重要な街です。アゥルボルク自治体の一部であり、アイスランド全土を周回するリングロード沿い、クヴェラゲルジとヘトラの中間に位置しています。この街は、2011年時点で6512人の人口を擁し、南アイスランド地域で最も大きな都市であり、地域の経済活動や行政の中心地として機能しています。商業だけでなく、工業も営まれており、地域経済の拠点となっています。

街の名前である「セールフォス」は、氷語で「家畜小屋の滝」を意味しますが、興味深いことに、街のすぐ近くに目立った滝は存在しません。

地理

セールフォスは、アイスランドの首都レイキャヴィークから南西に約50kmの、アイスランド島南西岸に位置しています。南アイスランド地方の行政機能が集まる中枢であり、その周辺にはストフクスエイリ、エイラルバッキ、クヴェラゲルジといった他の集落が点在しています。

歴史

この地の歴史は古く、紀元1000年頃にソゥリル・アゥサソンが入植したことが街の始まりとされています。さらに遡ると、サガの記録には、紀元873年から874年の冬にインゴールヴル・アルナルソンがエルフスアゥ川西岸のインゴールヴルフィヤットル山の麓で越冬したことが記されています。

セールフォスの発展において決定的な役割を果たした出来事は、1891年の夏、アルシング（アイスランド議会）の議員であったトリッグヴィ・グンナルソンによってエルフスアゥ川に初めて吊り橋が架けられたことです。これはアイスランドの建設史における重要な事業であり、この橋の完成により、セールフォスはこの地域の交通の要衝、そして中心地としての地位を確立しました。当初の橋は後に損壊し、現在架かっている橋は1945年に再建されたものです。人口は橋の建設による交通の利便性向上とともに増加し、1900年のわずか40人から、2006年には約6000人にまで大きく膨れ上がりました。

1930年代には、Mjólkurbú Flóamanna（乳製品工場）とKaupfélag Árnesinga（購買組合）という二つの常設商店が事業を開始し、その後の数十年間にわたり、これらが地域最大の雇用主として経済を牽引しました。第二次世界大戦中には、戦略的に重要なエルフスアゥ川の橋を守るため、イギリス軍の歩兵部隊がセールフォスに駐留しました。

現在

リングロードの整備など交通インフラの改善により、セールフォスと首都レイキャヴィーク間の移動が容易になりました。レイキャヴィークに比べて地価が比較的低いことから、今後は首都圏からの経済活動や人口の流入が進むことが予想されています。また、レイキャヴィークの都市生活を離れて、より静かで落ち着いた環境での生活を求めて移住する人々も見られます。失業率は低い水準で推移しており、地域社会は安定しています。南アイスランドで最も規模の大きな教育機関の一つであるFSU（Fjölbrautaskóli Suðurlands、南アイスランド複合学校）がセールフォスにあり、地域に質の高い教育機会を提供しています。

毎年8月上旬には、地域最大の祭典「Sumar í Selfoss」（セールフォスの夏）が開催されます。この期間中、住民たちは自宅の庭を近隣と連携して色とりどりのリボンで飾り付けます。祭りの主要な祝宴は、市民図書館に隣接する公園で開かれ、多くの露店が立ち並び、地元住民による手作りの品などが販売されます。また、特設ステージでは、音楽家やマジシャンなどがパフォーマンスを披露し、祭りを盛り上げます。2011年には「アイスランド最強の男コンテスト」が開催され、テレビ中継もされて話題となりました。夜には大きなかがり火が焚かれ、壮大な花火が打ち上げられて祭りは最高潮を迎えます。

2008年の地震

2008年5月29日15時46分（GMT）には、セールフォス近郊を震源とするマグニチュード6.3の強い地震が発生しました。この地震は、セールフォス周辺の土地や建物に大きな被害をもたらしました。揺れは首都レイキャヴィークやケプラヴィーク国際空港を含む南アイスランド全域で広く感じられ、少なくとも30人の負傷者が出ましたが、人的な犠牲者は幸いにもありませんでした。しかし、地域の牧場で飼育されていた多くの羊が犠牲となる痛ましい出来事となりました。

出身者

セールフォス出身の著名人としては、サッカー選手のヨン・ベズヴァルソンや、ジャズシンガーのクリスチャーナなどが知られています。

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