ゼネラル・エレクトリック F110

GE F110エンジンの詳細

F110は、ゼネラル・エレクトリック（GE）が開発した航空機用アフターバーナー付きターボファンエンジンです。このエンジンは、高性能を求められる軍用機に広く使用されており、特にF-14、F-16、そしてF-2などに搭載されています。このエンジンの設計は、以前のF101を基にしており、エンジンコアの設計を共有しています。

特徴と性能

F110エンジンは、同じクラスの競合エンジンであるプラット・アンド・ホイットニー（P&W）F100と比較すると、高高度での推進力にほぼ差はありませんが、低高度での出力は約30%向上しています。これにより、低空での機動性が大幅に改善されており、戦闘機にとって重要な優位性を提供しています。

また、F110にはアフターバーナー非搭載型のF118も存在しており、特定の用途に応じて選択されています。

F-14への採用

F-14は1973年にP&W TF30エンジンを搭載して就役しましたが、その後多くの問題が発生し、1980年代にはF110-GE-400型エンジンに更新されました。このアップグレードにより、F-14は以前のエンジンに比べて出力が格段に向上し、性能が飛躍的に改善されました。その結果、F-14はF-14Bとして知られる新たなバージョンを迎えることとなりました。

F-16とF-2への導入

F-16はもともとP&W F100エンジンを採用していましたが、1984年にはエンジンの二重ソース化を目的にF110も選択肢として導入されました。その結果、F-16C/D Block30/32はどちらのエンジンも搭載可能な設計となりました。現在、アメリカ空軍のF-16C/Dの約86%がF110を搭載しています。

日本のF-2には、IHIがライセンス生産したF110-IHI-129が搭載され、F-16を元にした戦闘機でありながら、地域のニーズに合わせた設計となっています。

F-15Eとその派生機

F-15EにもF100およびF110に対応したエンジンベイがあり、韓国向けのF-15Kやシンガポール向けのF-15SGもF110を基にしたエンジンが採用されています。これにより、各国のニーズに応じた運用が可能です。

各型式の特性

F110にはいくつかの異なる型式があります。

• - F110-GE-400: F-14B/Dに搭載され、推力は27,600lbf/123kN。
• - F110-GE-100: F-16C/D Block30/40用で、推力は28,000lbf/125 kN。
• - F110-GE-129: F-16C/D Block50に搭載され、推力29,400lbf/131 kN。

これらの型式はそれぞれ異なる特性を持っており、軍事用途に応じた性能を発揮します。特に改良型として登場したF110-GE-129Aは、燃焼室やタービンの改良により効率が向上し、コストの削減にも寄与しています。

まとめ

GE F110エンジンは、最新の航空機に求められる高い性能と信頼性を提供し続けています。その多様な型式と各種の適用により、世界中の軍用機の戦力を支える重要な存在となっています。今後もさらなる技術革新が期待される中、F110シリーズは航空機エンジン界の中核を担い続けるでしょう。

もう一度検索