ゼネラル・エレクトリック J85

J85 ターボジェットエンジン

J85は、ゼネラル・エレクトリック（GE）が開発した単軸式の小型ターボジェットエンジンで、空中発射デコイ用に設計された後、その優れた性能から有人機向けに改良されました。このエンジンは、軍用ジェットエンジンの中で最も長期間使用されているものの一つとされています。

概要

J85は、推力2,950 lbf（約13 kN）の基本性能を持ち、アフターバーナーを使用することで最大5,000 lbf（約22 kN）を発揮します。その重量はモデルによって300～500ポンド（約140～230 kg）で、製造されたターボジェットエンジンの中でも高い推力重量比を誇ります。民間向けのモデルであるCJ610は、アフターバーナーを持たない設計であり、CF700は燃費向上のため後方にファンを追加した派生形となっています。J85は、1650万時間以上の運用実績を持ち、米空軍は2040年までの使用を計画しています。

設計と開発の経緯

元々、J85はマクドネル・エアクラフトのADM-20デコイ機への動力供給を目的として設計されました。ADM-20は、母機から投下されて飛行し、防空ミサイルの注意を分散させる役割を果たします。この要求に応えるため、小型で高出力のエンジンが必要でした。再利用を想定しない消耗品としての仕様だったため、材料の品質は低く抑えられることが可能でした.

後にJ85は、高性能を評価されて有人機エンジンとしての設計に改良され、T-38タロンやノースロップF-5などの航空機に搭載されました。さらに、J85はスケールドコンポジッツのホワイトナイトや、Me 262プロジェクトの改造機に搭載されるなど、多様な用途に采配されました。

技術仕様

J85エンジンの直径は約46 cm、全長は約114 cmです。8段の軸流圧縮機を備え、最大推力は2,950 lbf（13 kN）を提供します。アフターバーナー使用時にはさらに高い推力が発揮され、最大で5,000 lbf（22 kN）に達します。エンジンの燃料消費率は、最大出力時で約400 USガロン（約1,520 L）を1時間あたり消費し、巡航状態では約100 USガロン（約380 L）です。後期型のJ85-21では、圧縮機にさらに1段を追加し、推力を向上させています。

派生機種

さまざまな派生機種が存在し、使用目的に応じて推力が異なります。

• - J85-GE-1: 推力2,600 lbf (11.6 kN)
• - J85-GE-3: 推力2,450 lbf (10.9 kN)
• - J85-GE-4: 推力2,950 lbf (13.1 kN)
• - J85-GE-5: 推力2,400 lbf (10.7 kN)
• - J85-GE-21: 推力5,000 lbf (22 kN)

主な搭載航空機

J85は、次のような航空機に搭載されています：

• - フェアチャイルドC-119K
• - ノースロップF-5
• - テムコスーパーピント
• - カナディアCL-41
• - セスナA-37 など

J85は、その優れた性能と信頼性から航空業界において重要な地位を築いており、今後もさらなる利用が期待されています。

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