ゼネラル・エレクトリック TF39

ゼネラル・エレクトリック TF39

ゼネラル・エレクトリック TF39は、アメリカ合衆国の航空機用エンジンであり、高バイパスターボファンエンジンの代表格です。このエンジンは、ロッキードのC-5ギャラクシー輸送機のために開発され、初めて実用化された高推力エンジンです。TF39の設計を基に、民間航空機向けのCF6シリーズや、船舶及び産業用途のガスタービンエンジンLM2500も誕生しました。

開発の背景

1964年、アメリカ空軍は次世代の戦略輸送機を目指したCX-X計画を発表しました。この計画では、様々な機体とエンジンの提案が行われ、1965年にロッキードによる機体設計案とゼネラル・エレクトリックのエンジン設計が選ばれました。このエンジンは高バイパス比が特長であり、性能が大幅に向上しています。推力は43,000ポンドに達し、燃料効率もおよそ25%改善されています。

TF39のバイパス比は8:1、圧縮比は25:1で、優れた冷却機構を備えたタービンは、タービン温度を1,370℃まで引き上げています。最初のプロトタイプは1965年に試験が行われ、1968年から1971年にかけて、C-5A航空隊向けに463基のTF39-1及びTF39-1Aエンジンが生産され、納入されました。

設計の特徴

TF39は1960年代を代表する高推力エンジンであり、幾つかの画期的な技術を採用しています。その主な特長は以下の通りです。

• - 1½段式ファンブレード：新しいデザインにより、効率的な推進力を提供。
• - 高バイパス比8:1：低燃料消費と高推力を両立。
• - 可変式静翼：運転条件に応じた最適な空力特性を実現。
• - 先進的冷却機構：高温環境でも安定した性能を維持。
• - カスケード式逆推力装置：短い滑走路での性能を向上。

このエンジンの設計は、当時において他に類を見ないもので、ファンの回転翼は外部バイパス部分に固定され、コアブースター段はファン前方に配置されるユニークな構造を持っています。

派生モデル

TF39には幾つかの派生モデルがあり、それぞれ異なる用途に合わせて搭載されました。

• - TF39-GE-1：初期生産モデルでC-5Aに搭載。
• - TF39-GE-1A：C-5Aへの搭載モデル。
• - TF39-GE-1C：CF6の改良を受けたC-5B用モデル。

仕様

TF39の一般的な特性は次の通りです。

• - 形式：ターボファン
• - 全長：312インチ (792 cm)
• - 直径：97インチ (246 cm)
• - 乾燥重量：8,000ポンド (3,630 kg)

構成要素

• - 圧縮機：1段ファン、5段低圧、16段高圧の軸流式圧縮機。
• - 燃焼器：アンニュラー式。
• - タービン：高圧2段、低圧6段の軸流式。

性能

• - 推力：43,300ポンド (193 kN)
• - 全圧縮比：25:1
• - 燃料消費率：0.313 lb/lbf-hr
• - 推力重量比：5.4:1

TF39は、その先進的な設計と高い性能により、航空機エンジンの歴史において特筆すべき存在となっています。

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