ゼロコロナ政策

ゼロコロナ政策

ゼロコロナ政策（ゼロコロナせいさく）とは、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に対抗するために採用された一連の対策であり、特に厳しい行動制限を伴うものです。この政策は中国で強く推進され、中国共産党によって市中感染の完全な封じ込めを目指すことを目的としています。都市封鎖などの手法を用いて感染を徹底的に抑え込もうとする姿勢が際立った政策であり、そのアプローチは他国と比較しても非常にユニークでした。

中国におけるゼロコロナ政策の展開

COVID-19が発生した後、中国の指導者たちは「国内に新型コロナウイルスの存在を許さない」という強い姿勢を示しました。これは「零容認」または「ゼロコロナ」と称され、厳格な行動制限を伴う政策が展開されました。2020年半ばまでには新規感染者数がほぼゼロに近い状態に達し、極めて厳しい感染対策が功を奏する形となりました。この成功により、中国共産党は自国の社会体制の勝利をプロパガンダとして強調し、他国の対応状況を批判する材料としました。

しかし、時が経つにつれ、デルタ株の出現により状況は変わります。強力な伝染性を持つこの変異株は、再び感染の波を引き起こし、中国のゼロコロナ政策に一つの試練を与えました。2021年夏、感染者数が急増し、再び厳しい感染対策が取られました。特に、南京市では大規模なPCR検査が実施され、その結果、数十人の陽性者が確認されました。この事態は政府に大きな衝撃を与え、結果として政策の見直しを求める声も挙がるようになりました。

中国政府の対応とその影響

中国の媒体は他国の「ゼロコロナ政策」の放棄について批判的な報道を行った一方で、政府に対する多くの市民の支持もありました。市民は自身の国の対策の効果を見て、他国の失敗と比較して誇りを持つようになったと言えます。2021年にはワクチン接種が進められ、中国製の不活化ワクチンが広く接種されました。接種率が高い一方、mRNAワクチンに比べてその効果は低いとされていますが、運搬や保存が容易だったため一定の評価を受けました。

2021年末、新たなオミクロン株が現れた際も、政府はゼロコロナ政策を堅持する姿勢を見せました。厳しい規制は続き、北京オリンピックなどの大規模なイベントに向けた対策が講じられました。特に、その開催は国の威信がかかるものであり、政府は徹底した感染対策を強調し続けました。

政策の変遷と市民の反応

しかし、2022年に入り、ゼロコロナ政策に対する不満が広がる中で、政府はついに政策の見直しを余儀なくされました。大規模な抗議活動が起きると、政府は中国全土での厳しい対策の緩和を模索せざるを得なくなりました。12月には新たな政策が発表され、感染者数が急激に増加すると共に、急増する死者数に対して十分な医療体制が整備されていないことが浮き彫りとなりました。結果として、日本やシンガポール、ベトナムなどでは方向転換が進められた中で、中国も徐々にウィズコロナへの移行を始めました。

まとめ

ゼロコロナ政策は、新型コロナウイルスに対する中国独自の強権的なアプローチであり、多くの支持を得る一方で、厳しい行動制限は市民の生活に多大な影響を及ぼしました。政策の功罪が検討される中で、その後の方向転換がどのような形で進むのかが注目されている状況です。

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