ソウル・キッス

オリビア・ニュートン＝ジョンによって発表された楽曲の一つに、「ソウル・キッス」（英語表記では "Soul Kiss"）があります。この楽曲は、彼女自身の名をタイトルに冠した同名のアルバム『Soul Kiss』より、そのアルバムを代表する最初のシングルとして世に送り出されました。アルバム『Soul Kiss』は、日本では『麗しの瞳』という邦題でも親しまれています。

「ソウル・キッス」がシングルとしてリリースされた際、その形態は主に7インチシングル盤でした。このシングル盤のA面には、タイトル曲である「ソウル・キッス」が収録され、その収録時間は3分56秒でした。一方、シングルのB面、すなわちカップリング曲として収められたのは、「Electrified」という楽曲で、日本では「恋に魅せられて」という邦題が付けられています。こちらの「恋に魅せられて」の収録時間は3分49秒です。このように、物理的なシングル盤として両曲が収録され、リスナーに届けられました。

楽曲「ソウル・キッス」に関連する特筆すべき点として、この曲のために制作されたミュージック・ビデオの存在が挙げられます。この映像作品には、当時オリビア・ニュートン＝ジョンの夫であったマット・ラッタンジー氏が出演していることが知られています。アーティストの私生活における重要な人物が、楽曲の視覚的表現に登場することは、当時のファンにとって大きな関心事であったと言えるでしょう。

さらに、この楽曲「ソウル・キッス」は、オリビア・ニュートン＝ジョンのキャリアにおいて重要な記録を残しています。アメリカの主要な音楽チャートであるBillboard Hot 100において、トップ20圏内にチャートインしたシングルとしては、彼女にとって生前最後の楽曲となったのです。これは、長きにわたる彼女の輝かしいキャリアの中でも、チャート実績という観点から見ると、一つの区切りを示す楽曲であったことを意味しています。商業的な成功の一つの指標である主要チャートでのトップ20入りを果たした最後の作品として、「ソウル・キッス」は記憶されるべき楽曲と言えるでしょう。

シングルのB面に収録された「恋に魅せられて」もまた、興味深い経緯を持つ楽曲です。この曲は、シングルとしてリリースされただけでなく、アルバム『Soul Kiss』（邦題『麗しの瞳』）の日本盤において、特別なボーナストラックとして追加収録されました。当時の日本のレコード市場では、海外アーティストのアルバムに日本独自のボーナストラックを追加することがしばしば行われており、「恋に魅せられて」もその一例です。日本のファンは、シングルを購入しなくとも、アルバムの日本盤を手に入れることでこの楽曲を聴くことができたわけです。

さらに時を経て、2010年に発売されたアルバム『Soul Kiss』のリマスター盤においても、「恋に魅せられて」は再びボーナストラックとして収録されました。これは、この楽曲が単なるシングルのB面曲にとどまらず、アルバム本編の楽曲群とは異なる位置づけでありながらも、ファンにとって価値のある楽曲として認識され続けていることを示唆しています。オリジナル盤の日本盤にボーナストラックとして収められた楽曲が、その後のリマスター盤でも引き継がれることは、比較的珍しいケースと言えるかもしれません。

このように、「ソウル・キッス」は、オリビア・ニュートン＝ジョンのキャリアにおける一時期を彩った楽曲であり、同名のアルバムからの先行シングルとして、ミュージック・ビデオでの夫との共演、そして生前最後のBillboard Hot 100トップ20入りという記録を残しました。また、そのカップリング曲である「恋に魅せられて」も、日本独自のアルバム収録や後年のリマスター盤への再収録といった特別な扱いを受けるなど、このシングル全体が、アーティストのディスコグラフィーにおいて多角的な側面を持つ存在であると言えます。それぞれの楽曲が持つ背景や記録は、オリビア・ニュートン＝ジョンの音楽活動の一端を知る上で重要な情報となります。

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