ソナチネ

ソナチネ：音楽形式の解説

ソナチネ（伊: sonatine）は、クラシック音楽における楽曲のジャンル、または形式の一つです。名称は、ソナタの指小形であるイタリア語の複数形「sonatine」に由来しますが、単数形で「ソナチナ (sonatina)」と呼ばれることもあります。フランス語、ドイツ語でも同様の綴りですが、発音はそれぞれ異なります。

様式の変遷

バロック時代においては、ソナチネは短い器楽曲を指し、カンタータの導入部分や間奏として用いられました。古典派以降は、演奏しやすく、理解しやすい短いソナタを指すようになります。第一楽章はソナタ形式で作曲されることが多いものの、展開部が短縮されたり、省略されたりすることがあります。楽章数は通常2つから3つで、「小さいソナタ」という意味合いから「小奏鳴曲」と訳されることもあります。

多様な楽器のためのソナチネ

ソナチネはピアノ曲として親しまれていますが、様々な楽器の組み合わせによる作品も存在します。例えば、C.P.E.バッハはチェンバロと管弦楽のためのソナチネを、ドヴォルザークはヴァイオリンとピアノのためのソナチネを作曲しました。ギター曲としては、ポンセの「南国のソナチネ」が知られています。その他、オネゲルやミヨーもクラリネットとピアノのためのソナチネを作曲しています。

ソナチネの作曲家たち

多くの作曲家がソナチネを手がけており、中にはソナタを作曲したにもかかわらず、その規模や楽章数からソナチネの作曲家として知られている例もあります。

モーツァルト
ベートーヴェン
クレメンティ
クーラウ
シューベルト
チャイコフスキー
ラヴェル
バルトーク
プロコフィエフ
カバレフスキー

ラヴェルをはじめとする近代以降の作曲家によるソナチネには、高度な演奏技術や洗練された音楽性が要求される作品もあり、学習者が容易に習得できる古典派のソナチネとは一線を画します。現代の作曲家もソナチネを作曲しており、新垣隆や福田洋介などもソナチネの作品を残しています。

ソナチネは、その多様な形式と表現を通して、音楽史の中で重要な位置を占めています。また、学習者にとって、ソナタ形式への入門として、重要な役割を果たしています。

関連項目

* ソナタ形式#ソナチネ形式

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