ソビエト連邦外務省

ソビエト連邦対外関係省（MER）とは

ソビエト社会主義共和国連邦（ソ連）の対外関係省（MER、ロシア語: Министерство иностранных дел СССР）は、1923年7月6日に設立され、ソ連の外交政策を担った重要な政府機関でした。時代によって人民委員会（1923〜1946年）、外務省（1946〜1991年）、対外関係省（1991年）と名称を変えましたが、その役割は一貫していました。

組織と構造

MERは、外務大臣（1991年以降は対外関係大臣）が率い、大臣は閣僚評議会議長によって指名され、最高ソビエト連邦最高会議によって任命されました。内部には、大臣、第一副大臣、副大臣などで構成される「コレギウム」と呼ばれる政策決定グループが存在し、各副大臣はそれぞれの部門を統括していました。

MERの主な任務は、ソ連の外交政策の一般的な方針を指示することでした。海外でソ連を代表し、外国代表団との会談に参加し、外交官を任命しました。経済的な利益は外国貿易省との共同責任でしたが、MERは海外でのソ連の経済的および政治的利益を保護する責任も担っていました。また、海外のソ連国民の保護やロシア文化の促進に関して、関係機関と協力していました。

イデオロギーと政策立案

ソ連の外交政策は、マルクス・レーニン主義のイデオロギーに強く影響を受けました。レーニンは、資本主義勢力との平和共存を支持し、妥協を外交の重要な要素と見なしました。政策とイデオロギーの関係は、ソ連崩壊まで活発な問題でした。MERの外交政策計画局は、国際関係を分析し、将来の出来事を予測する役割を担っていました。

党との関係

外交政策において、MERは国家を代表し、ソビエト連邦共産党国際部（ID）は党を代表しました。IDの外交政策は、MERに比べてよりイデオロギーに準拠したものでした。MERは、プロパガンダや「積極的措置」のために多くの資源を投入し、偽情報の発信も行っていました。

歴史

1917年、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国（RSFSR）の人民外務委員会が設立され、十月革命後にロシア帝国外務省に代わって機能しました。1946年には、人民委員会会議が閣僚会議に改称されたことに伴い、外務人民委員会も外務省に改称されました。

グロムイコ外相の回顧録によると、フルシチョフは常に新しいアイデアを提示し、ソ連の外交政策にプラスの影響を与えました。ブレジネフは、政治局でオープンに議論させたため、グロムイコにとって仕事がしやすかったと述べています。ゴルバチョフの「新思考」は、西側諸国との友好的な外交関係をもたらしましたが、国内政策は国内を不安定化させ、1991年にソ連は崩壊しました。解散前の1991年に「対外関係省」へと改称され、1992年、同省の業務はロシア外務省に引き継がれました。

まとめ

ソビエト連邦対外関係省は、ソ連の外交政策を遂行するために設立された重要な機関でした。その組織構造、イデオロギー、党との関係は、ソ連の外交政策を理解する上で不可欠な要素です。時代の変遷とともに名称や役割も変化しましたが、ソ連の国際的な影響力を維持するために重要な役割を果たし続けました。

もう一度検索