ソユーズ37号

ソユーズ37号

ソユーズ37号は、1980年にソビエト連邦が実行したサリュート6号宇宙ステーションへの重要な有人宇宙飛行ミッションです。この飛行は、軌道上の施設とのドッキング試みとしては13回目にあたり、そのうち11回目の成功例となりました。特に、当時サリュート6号に長期滞在していたソユーズ35号のクルーを訪れるインターコスモス計画の一環としての性格も持ち合わせており、これはソユーズ35号クルーへの3度目の訪問ミッションでした。

搭乗クルー

ソユーズ37号の出発時の乗組員は、経験豊富なヴィクトル・ゴルバトコ船長と、ベトナム社会主義共和国から参加したファム・トゥアン・フライトエンジニアでした。ファム・トゥアン氏は、この宇宙飛行によって、アジア人として初めて地球の軌道に到達した人物という歴史に名を刻みました。彼らのバックアップクルーは、ヴァレリー・ブィコフスキー船長とブイ・リエム・フライトエンジニアでした。

サリュート6号でのミッションを終え、地球へ帰還した際のソユーズ宇宙船（ソユーズ36号）の乗組員は、ゴルバトコ船長とファム・トゥアン・フライトエンジニアです。一方、ソユーズ37号で地球へ帰還したのは、サリュート6号に長期滞在していたソユーズ35号のクルーであるレオニード・ポポフ船長とワレリー・リューミン・フライトエンジニアでした。

ミッションハイライト

ソユーズ37号はサリュート6号へ無事ドッキングを果たし、ヴィクトル・ゴルバトコとファム・トゥアンの両宇宙飛行士は、ステーションで長期滞在中のレオニード・ポポフとワレリー・リューミンの両氏と合流しました。軌道上での滞在期間は約8日間に及び、この間、ファム・トゥアン氏はベトナム科学アカデミーが計画した約30種類の科学実験を遂行しました。

特筆すべき実験には、宇宙からのベトナム領土および周辺地域の詳細な観察、将来的な宇宙での生命維持システムに応用される可能性を持つアカウキクサ（Azolla）の宇宙環境下での栽培実験、そして様々な材料科学に関する研究が含まれていました。これらの実験は、宇宙科学における国際協力の成果として重要な意味を持ちます。

サリュート6号でのミッション期間を終えたゴルバトコ船長とファム・トゥアン氏は、当初搭乗してきたソユーズ37号ではなく、先にステーションにドッキングしていたソユーズ36号に乗り換えて1980年7月31日に地球へ帰還しました。これは、軌道上にフレッシュなソユーズ宇宙船を残し、長期滞在クルーの帰還に備えるための標準的な運用手順でした。

その後、サリュート6号に186日間という長期にわたり滞在し、多数の科学観測や技術実験を成功させたレオニード・ポポフとワレリー・リューミン両宇宙飛行士は、ソユーズ37号に搭乗し、無事地球への帰還を果たしました。ソユーズ37号は、彼らにとって故郷へ帰るための「生命線」としての役割を果たしたのです。

ミッションパラメータ

ソユーズ37号宇宙船の打ち上げ時質量は6800キログラムでした。軌道は、近点高度197.8キロメートル、遠点高度293.1キロメートルという楕円軌道を取りました。軌道傾斜角は51.61度で、地球を一周するのに要する軌道周期は約89.12分でした。これらのパラメータは、サリュート6号宇宙ステーションへのランデブーおよびドッキングを成功させるために精密に計算されていました。

このミッションは、インターコスモス計画を通じた国際協力の成功例であり、特にアジア人初の宇宙飛行士誕生という歴史的な出来事を実現させた点で、宇宙開発史において特筆すべき位置を占めています。

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