ソユーズ7K-OKS

ソユーズ7K-OKS

ソユーズ7K-OKSは、旧ソビエト連邦が開発したソユーズ宇宙船シリーズにおける重要な改良型の一つです。先行するソユーズ7K-OK型に代わるモデルとして設計され、特に宇宙ステーションとの連携能力の向上を目的としていました。

このモデルの最も画期的な特徴は、宇宙ステーションにドッキングした際に、宇宙飛行士がソユーズ船内とステーション間を船外活動を行うことなく直接行き来できるようになった点です。従来の7K-OK型では、ドッキング後に人員が移動するためには船外活動（EVA）が必要であり、これは大きなリスクと手間を伴いました。7K-OKS型でこの直接移動機能が実現されたことにより、宇宙ステーションへの人員輸送や物資の補給が飛躍的に効率化されることが期待されました。

ソユーズ7K-OKS型は、世界初の宇宙ステーションであるサリュート1号への人員輸送ミッションで初めて投入されました。

最初の実運用は、1971年4月23日に打ち上げられたソユーズ10号ミッションでした。この飛行では、軌道上に先行して打ち上げられていたサリュート1号へのドッキングが試みられました。技術的には船体の物理的な結合に成功したものの、何らかの技術的な問題によりドッキングが完全な状態に至らず、船内ハッチを通じた宇宙飛行士のサリュート1号への移動は断念されました。結局、ソユーズ10号はステーションへの滞在を果たすことなく地球へ帰還しました。

続いて、同年6月6日にはソユーズ11号が打ち上げられ、再びサリュート1号へのドッキングミッションに臨みました。このミッションでは、サリュート1号とのドッキングに成功し、搭乗していた3名の宇宙飛行士全員がステーション内部への移動、そして約3週間にわたる滞在を成功させました。これは、宇宙ステーション時代における初の長期滞在であり、今後の宇宙開発におけるステーション運用の可能性を示す大きな成果となりました。

しかし、このソユーズ11号ミッションは、帰還段階で極めて悲劇的な結末を迎えました。サリュート1号から分離し、地球への再突入軌道に乗った後、再突入モジュール内で急激な空気漏れが発生したのです。この事故により、搭乗していた3名の宇宙飛行士全員が、大気圏再突入カプセルの着陸を目前にして命を落としました。原因は、モジュールの分離時に圧力均等化弁が設計通りに閉鎖されなかったことによるものとされています。

ソユーズ11号の痛ましい事故を受け、ソユーズ7K-OKS型の運用は中断されました。わずか2回の飛行で、成功と悲劇の両方を経験したこの型は、その後使用されることはありませんでした。

この事故から得られた教訓は非常に大きく、以降のソユーズ宇宙船開発に多大な影響を与えました。特に安全性の向上は喫緊の課題となり、後継機として開発されたソユーズ7K-T型では、生命維持システムの強化や乗組員数の削減（通常2名）などの安全対策が施されました。ソユーズ7K-T型以降のソユーズシリーズは、長期にわたり宇宙ステーションへの重要な輸送手段として運用されていくことになります。

ソユーズ7K-OKS型は、宇宙ステーションへの直接移動という画期的な機能を初めて実現したモデルでありながら、その短い運用期間に大きな事故を経験したことから、初期の宇宙ステーション時代における技術的な挑戦と、それに伴うリスクの大きさを象徴する存在と言えるでしょう。その経験は、その後の有人宇宙飛行の安全基準に大きく貢献することになりました。

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