ソユーズ8号

ソユーズ8号（Soyuz 8）は、1969年にソビエト連邦によって実行された有人宇宙飛行計画の一つです。このミッションは、同時に打ち上げられたソユーズ6号およびソユーズ7号と連携して行われた、当時としては画期的な合同飛行でした。3機のソユーズ宇宙船が同時に地球軌道上に集結し、総勢7名の宇宙飛行士が乗り込むという、ソビエトの宇宙開発における重要な一歩となりました。

ソユーズ8号の正搭乗員は、船長を務めたウラジーミル・シャタロフ飛行士と、フライトエンジニアのアレクセイ・エリセーエフ飛行士でした。彼らは二人とも、これが2度目の宇宙飛行経験となります。バックアップクルーとしては、船長候補にアンドリアン・ニコラエフ飛行士、フライトエンジニア候補にヴィタリー・セバスチャノフ飛行士が名を連ねていました。

この合同ミッションの主な目的は、ソユーズ8号がソユーズ7号と軌道上でドッキングし、乗組員を相互に移し替えることでした。これは、以前ソユーズ4号とソユーズ5号の間で成功裏に行われた方式を再び試みるものでした。また、ソユーズ6号は、このドッキングと人員移動の様子を至近距離から撮影し、詳細な記録を残すという役割を担っていました。

しかし、残念ながら、軌道上で搭載機器に不具合が発生し、ソユーズ8号とソユーズ7号の間のドッキングという主要な目標は達成できませんでした。この失敗は、ソビエト連邦が進めていた有人月着陸計画に関連する軌道上での重要な技術試験が、不首尾に終わったことを意味します。後日、ソビエト当局は公式発表の中で、ソユーズ8号と7号のドッキングは当初から計画されていなかったかのような主張を行いました。しかし、実際にはソユーズ8号にはドッキングに必要なアダプターが搭載されていたこと、そして搭乗員であるシャタロフ飛行士とエリセーエフ飛行士がともに過去にドッキングミッションの経験を持っていたことなどから、この当局の主張が事実と異なっていた可能性が高いと考えられています。

ソユーズ8号の技術的な諸元としては、宇宙船の質量は6,646キログラムでした。地球周回軌道は、近点が201キロメートル、遠点が227キロメートル、軌道傾斜角は51.7度、そして軌道周期は88.7分というものでした。

また、ソユーズ8号の無線呼出符号は「グラニート」（Granit）でした。これはロシア語で「花崗岩」を意味する言葉です。この名称が選ばれた背景にはいくつかの説があります。一つには、ソビエトの軍事訓練における防衛部隊の名称に由来するという説があります。宇宙船に軍事関連の名称が用いられたのは、かつてソユーズ5号の船長が宇宙空間から行った政治的なアピールへの反響を示すためだったのではないか、という見方もあります。さらに、ロシア語のアルファベット順（アンタイオス - Antey (A)、ブリザード - Buran (Б) に続く、グラニート - Granit (Г)）に沿って選ばれた可能性も指摘されています。

ソユーズ8号ミッションは、主要な目的であったドッキングこそ失敗に終わりましたが、複数の有人宇宙船が同時に軌道上で連携飛行を行うという点で、その後の宇宙開発における大規模な軌道活動の可能性を示す重要な事例となりました。同時に、この失敗はソビエトの月着陸計画における技術的な課題を浮き彫りにする出来事でもありました。

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