ソユーズTM-27

ソユーズTM-27（ロシア語: Союз ТМ-27、英語: Soyuz TM-27）は、ロシア連邦が運用する宇宙船「ソユーズ」を用いた有人宇宙飛行ミッションです。この飛行は、当時運用されていた宇宙ステーション「ミール」への定期的な往来を目的としており、有人ミッションとしては35回目の節目にあたるものです。このミッションに割り当てられたコールサインは、ロシア語で「結晶」を意味する「クリスタール」でした。

ミッション概要

ソユーズTM-27は、ミールへの新しい長期滞在クルーを送り届けると共に、既存のクルーの一部を交代させる役割を担いました。また、この飛行はフランスの宇宙機関CNESによるミッション「Pégase」の実施にも利用され、フランス人宇宙飛行士が搭乗して様々な実験や観測を行いました。軌道上での通常の科学実験に加え、宇宙ステーションの維持・修理に関わる重要な船外活動（宇宙遊泳）が複数回実施されたのが、このミッションの大きな特徴です。

乗組員構成

ソユーズTM-27に搭乗した宇宙飛行士は、打上げ時と地球への帰還時で一部メンバーが異なっています。打上げ時には、ロシアのタルガット・ムサバイエフ宇宙飛行士（2回目の飛行）とニコライ・ブダーリン宇宙飛行士（2回目の飛行）に加え、フランスのレオポルド・アイハーツ宇宙飛行士（1回目の飛行）が搭乗しました。

一方、地球へ帰還した際の乗組員は、当初搭乗したムサバイエフ宇宙飛行士とブダーリン宇宙飛行士に加え、新たにユーリー・バトゥーリン宇宙飛行士（1回目の飛行）が加わった3名でした。これは、アイハーツ宇宙飛行士が別のソユーズ宇宙船で先行して地球に帰還したためです。

ミッション遂行内容

軌道に到達したソユーズTM-27宇宙船は、無事宇宙ステーション・ミールとのドッキングを成功させました。これにより、新しいクルーがミールに乗り込むことが可能となり、滞在していたクルーとの交代作業が実施されました。前述の通り、フランスの「Pégase」ミッションもこの機会に遂行され、フランス人宇宙飛行士アイハーツによる様々な科学実験や技術試験が行われました。また、これらの特別な活動に加え、ミールでの長期滞在中に計画されている通常の科学研究や技術開発に関する実験も滞りなく実施されました。

重要な船外活動（宇宙遊泳）

ソユーズTM-27ミッション期間中には、特に重要な船外活動が複数回計画・実行されました。当初、1998年3月3日に予定されていた船外活動は、宇宙服を着て宇宙船の外に出るためのハッチに技術的な問題が発生したため、やむを得ず中止となりました。

しかし、その後の計画は順調に進み、合計で5回の船外活動が成功裏に実施されました。これらの船外活動の日時と時間は以下の通りです。

1998年4月1日：約6時間40分
1998年4月6日：約4時間23分
1998年4月11日：約6時間25分
1998年4月17日：約6時間32分
* 1998年4月22日：約6時間21分

これらの船外活動において、宇宙飛行士たちは様々な作業を行いました。最も重要なタスクの一つは、ミールの「スペクトル」モジュールに設置されているソーラーパネルの修理でした。また、宇宙ステーションの姿勢制御に使用される新しいVDUシステム（小型ロケット噴射装置）の設置作業も、船外活動を通じて行われました。これらの作業は、ミールの安全な運用と機能維持のために不可欠なものでした。

その他関連情報

ソユーズTM-27でミールに到着したタルガット・ムサバイエフ宇宙飛行士とニコライ・ブダーリン宇宙飛行士は、当時ミールに滞在していたアメリカ人宇宙飛行士アンドリュー・トーマス（STS-89ミッションで到着）と共に、ミールの第25次長期滞在クルー（ミールEO-25）の一員となりました。彼らはこの後、ミールでの長期滞在任務に就きました。

一方、打上げ時に搭乗していたフランスのレオポルド・アイハーツ宇宙飛行士は、自身の「Pégase」ミッションを終えた後、ソユーズTM-26宇宙船に乗り換えて、1998年2月19日に無事地球へ帰還しました。このように、ソユーズ宇宙船はクルーの交代や短期間の訪問ミッションにも利用される多用途性を持っていました。

このミッションは、ミール宇宙ステーションの継続的な運用と国際協力の一端を示す重要な事例となりました。特に、複雑な船外活動による修理や機器設置は、当時の宇宙ステーションにおける維持管理技術の成熟度を示すものでした。

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