ソユーズTM-29

ソユーズTM-29

ソユーズTM-29（ロシア語: Союз ТМ-29、英語: Soyuz TM-29）は、ロシアが運用していた宇宙ステーション「ミール」へ向かう、通算38回目にあたる有人宇宙飛行ミッションです。このミッションで使用されたソユーズ宇宙船には「デルベーント」というコールサインが付与されていました。

このソユーズTM-29ミッションは、その特異な乗組員構成によって注目されました。通常、ソユーズ宇宙船の長期滞在ミッションでは、搭乗する宇宙飛行士の大半がロシア人ですが、ソユーズTM-29では打ち上げ時に搭乗した3名のうち、ロシア人の宇宙飛行士はベテランのヴィクトル・アファナシェフ飛行士ただ1名でした。これは、当時のロシア連邦の宇宙開発プログラムにおける資金的な制約を背景に、ソユーズ宇宙船の座席が商業的に他国へ販売されていたためです。このミッションでは、2名分の座席がフランスとスロバキアに提供されました。

ソユーズTM-29に搭乗して打ち上げられた乗組員は以下の3名です。

ヴィクトル・アファナシェフ (ロシア) - 司令官。これが彼にとって3回目の宇宙飛行となりました。
ジャン＝ピエール・エニュレ (フランス) - 研究宇宙飛行士。自身2回目の宇宙飛行。
イヴァン・ベラ (スロバキア) - 研究宇宙飛行士。スロバキア共和国として初めての宇宙飛行士となりました。

ソユーズTM-29は無事、ミール宇宙ステーションとのドッキングを果たしました。乗組員はステーション内で科学実験や技術実証、機器の保守といった任務にあたりました。

このミッションの乗組員構成は、ミールに長期滞在していたクルーの運用にも影響を与えました。ミールには常にロシア人による長期滞在クルーが活動しており、その交代はソユーズ宇宙船によって行われます。ソユーズTM-29の打ち上げクルーにロシア人長期滞在クルーが1名しか含まれていなかったため、ミールに既に滞在していたロシア人長期滞在クルーの一員であるセルゲイ・アヴデエフ飛行士が、当初予定していた帰還時期よりも長くミールに滞在することとなりました。アヴデエフ飛行士は、以前にソユーズTM-28でミールに到着していましたが、ソユーズTM-29のクルー構成を補完する形でミールでの滞在を延長し、最終的にソユーズTM-29の帰還クルーの一員として地球に戻ったと考えられます。

ソユーズTM-29が地球へ帰還する際に搭乗していた乗組員は以下の3名です。

ヴィクトル・アファナシェフ (ロシア) - 司令官として往復しました。
セルゲイ・アヴデエフ (ロシア) - 3回目の宇宙飛行となりました。
ジャン＝ピエール・エニュレ (フランス) - フランスの研究宇宙飛行士として往復しました。

一方、スロバキアのイヴァン・ベラ飛行士は、短期滞在ミッションとしてミールを訪れたため、ソユーズTM-29がミールにドッキングしている間に、既にミールに係留されていた別のソユーズ宇宙船（多くの場合、先行するソユーズTM-28）に搭乗して地球へ帰還したと推測されます。

ソユーズTM-29ミッションは、ミールの運用が終わりに近づいていた時期において、国際的な協力の下で実施された重要な飛行の一つです。ロシアにとって財源確保の側面があった一方で、フランスやスロバキアにとっては自国の宇宙飛行士をミールに送り込む貴重な機会となりました。この多国籍なクルーによるミッションは、宇宙開発における国際協力の多様な形態を示す事例と言えます。

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