ソラトブマチ

ソラトブマチ

『ソラトブマチ』は、2014年に製作された日本とフランスの合作映画です。監督は小原正至が務め、フランス人俳優・アクション監督のケフィ・アブリックと日本の女優、長嶋美紗が主演を務めています。国際的な合作映画ですが、作品の言語はほぼ全編にわたってフランス語が用いられており、日本国内での公開時には日本語字幕のみが提供され、吹き替え版は存在しません。主要な撮影はフランスの首都パリとその周辺で行われましたが、物語の一部には日本を舞台としたシーンも含まれています。この映画は、「不自由な安定と不安定な自由」という印象的なキャッチコピーを掲げており、対照的な生き方をする二人の人物の出会いを通して、現代社会における安定と自由についての問いを投げかける作品と言えるでしょう。

主演のケフィ・アブリックは、フランスを拠点に俳優として活動する傍ら、アクション監督としても才能を発揮しています。彼は日本でも特撮作品に携わった経験があり、『ウルトラマンゼノン』や『仮面ライダー凍鬼』といった人気シリーズでスーツアクターを務めた異色の経歴の持ち主です。本作では、不自由ながらも安定した日常を送る主人公マニュを演じています。一方、ヒロインであるソラ役には長嶋美紗がキャスティングされ、自由奔放で予測不能な魅力を体現しています。

物語は、安定志向でルーチンワークをこなす会社員、マニュの日常から始まります。彼は規則正しい生活を送り、大きな変化のない「不自由な安定」の中に身を置いていました。しかし、最近、通勤途中の同じ場所に、独創的な、あるいは世間的な評価基準では捉えにくい絵を並べている東洋系の女性、ソラを頻繁に見かけるようになります。その姿にマニュは次第に興味を惹かれ、ある日、好奇心から彼女に話しかけてみます。しかし、ソラはマニュの予想に反して、自由で型にはまらない、ある意味では生意気とも取れる態度を見せます。マニュはソラのペースに戸惑いながらも、彼女の独特な雰囲気に引き込まれ、結局、特に必要としていたわけではないその絵を思わず購入してしまいます。その日の夜、いつも通りの帰路につくマニュは、思いがけない光景を目にします。日中、絵を売っていたソラが、路上で毛布にくるまって一夜を明かそうとしている姿を発見するのです。この発見は、マニュの安定した日常に波紋を広げ、彼とソラの関係性、そしてそれぞれの生き様が交錯していく物語の端緒となります。対照的な二人の人物の出会いと関わりを通して、「不自由な安定」と「不安定な自由」というテーマがどのように描かれていくのかが、この映画の大きな見どころと言えるでしょう。

出演:
ケフィ・アブリック
長嶋美紗

スタッフ:
* 監督: 小原正至

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