ソルジャー・ゴールド

概要

『ソルジャー・ゴールド』（原題：Pentathlon）は、1994年にアメリカ合衆国で制作されたアクション映画である。主演は、スウェーデン出身の俳優であり、本作では製作総指揮も兼任したドルフ・ラングレン。監督は、映画史に残るいくつかの作品を手がけたブルース・マルムースが務めており、本作が彼の監督キャリアにおける最後の作品となった。冷戦終結後の時代を背景に、かつて祖国を捨てたアスリートが、過去の亡霊ともいうべき敵と対峙する姿を描く、サスペンスとドラマの要素を併せ持つ作品である。

あらすじ

物語の発端は、1988年に韓国のソウルで開催された夏季オリンピックに遡る。当時、東ドイツの近代五種競技代表選手として出場したエリック・ブロガーは、その圧倒的なパフォーマンスにより見事に金メダルを獲得し、国民的英雄となる。しかし、彼は栄光の座に留まらず、自由を求めて大胆な行動に出る。それは、随行していた国家保安省（シュタージ）の監視をかいくぐり、アメリカ合衆国への亡命を決行することであった。この決死の試みの最中、彼は同行していた監視員からの銃撃を受け、負傷してしまう。この時の傷が決定的なものとなり、エリックは頂点を極めたばかりの選手キャリアを無念にも断念せざるを得なくなる。

自由の国アメリカに身を寄せたエリックだったが、アスリートとしての道を閉ざされたことによる失意と、異国の地での孤独感から、彼の生活は荒れていく。酒に溺れ、目的を見失った日々を送っていた彼に、希望の光を与えたのは、一軒の小さなハンバーガー店の主人であったクリースだった。クリースは過去を問うことなく、エリックを店のアルバイトとして雇い入れ、彼に仕事と生活の安定を提供した。さらに、クリースの温かい言葉と励ましは、エリックの傷ついた心を癒し、彼が再び前向きに生きる力を取り戻す大きな支えとなる。クリースの存在によって、エリックはゆっくりと、しかし確実に立ち直りを見せていく。

それからおよそ8年の歳月が流れる。ドイツでは東西統一が実現し、世界情勢は大きく変化していた。一方、かつてエリックを指導していたコーチであり、彼にとって父親のような存在でもあった男、ミューラーは、激動の時代を経て極端な思想へと傾倒し、今やネオナチ組織の冷酷なリーダーと化していた。ミューラーは、ドイツ国内でエリックの父親を殺害するという凶行に及び、さらに自身を裏切って自由を選んだエリックに対する根深い憎悪と復讐心を募らせていた。彼はエリックを追い詰めるため、密かにアメリカへと渡る。

時を同じくして、エリックは過去の栄光を振り払い、アスリートとしての再起を目指すことを決意していた。彼は再びトレーニングを開始し、ある近代五種競技の大会への出場を控えていた。運命の皮肉か、復讐を誓うミューラーは、その大会の場でエリックを待ち伏せる。かつての師弟は、互いにとって避けられない宿敵として、遂に再会を果たすことになる。この対決は、単なるスポーツの試合ではなく、エリックの過去からの逃走の終わりであり、ミューラーにとっては裏切り者への制裁、そしてエリックにとっては自由と生きる権利をかけた最後の戦いとなる。二人の因縁に満ちた過去と、現在の切迫した状況が交錯し、物語はクライマックスへと向かって突き進む。

キャスト

主人公のエリック・ブロガーは、肉体派俳優として知られるドルフ・ラングレンが演じ、複雑な過去を持つアスリートの苦悩と強さを表現した。彼の宿敵となるミューラーや、エリックを支えるクリースの他、物語に深みを与える主要な登場人物たちを演じるキャストが脇を固めている。

関連情報

この映画は、日本国内において、過去に日本ビクター株式会社よりVHSビデオソフトとして販売された記録がある。また、後に株式会社オルスタックソフトエンタテインメントから、より高画質なHDリマスター版のDVDとして再リリースされており、現在でも映像ソフトを通じて鑑賞することが可能である。

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