ソロヴィヨーフ D-30

ソロヴィヨーフ D-30エンジンの概要

ソロヴィヨーフ D-30は、ソビエト連邦によって開発された2軸式の低バイパスターボファンエンジンです。公式にはバイパス式ターボジェットとして位置付けられることもあります。その特徴的な設計から、D-30は多数の軍用機や民間機に採用されています。特にアフターバーナーを装備したD-30F6は、MiG-31迎撃機の主要なエンジンとして知られています。このエンジンは低バイパス比（バイパス比1.0のD-30P）で設計されており、特に離陸時やアイドリング時に独特の音を発することで知られています。

設計と開発

1970年代半ば、ソビエト連邦ではMiG-25の更新を視野に入れた新型高速要撃機の研究が始まりました。MiG-25はマッハ3を達成できる強力なツマンスキーR-15ターボジェットエンジンを搭載していましたが、高空・高速に特化した設計であり、低空性能に欠けていました。加えて、耐久性の問題もあり、高出力時にエンジンが損傷する危険性がありました。

そこで、新たに開発が求められたのが、低空性能に優れたターボファンエンジンでした。この依頼を受け、ソロヴィヨーフ設計局はD-30F6エンジンの開発に取り組みました。このエンジンは、推力9,500 kgf（約20,900 lbfまたは93 kN）を発生し、アフターバーナー使用時には15,500 kgf（約34,200 lbfまたは152 kN）に到達しました。これにより、MiG-31は高度5000フィート以下での超音速飛行が可能となりました。

搭載機と性能

D-30F6はその強力な出力により、搭載できる航空機が限られていました。2009年時点で、MiG-31とスホーイSu-47（S-37とも呼ばれる）の実験機が主要な搭載機として知られています。しかし、Su-47は新しいNPOサトゥールンのターボファンエンジンに置き換えられる計画が進行中でした。一方、アフターバーナーを搭載しない民間機仕様のD-30KPおよびD-30KUは、イリューシンIl-62M、ツポレフTu-154M、イリューシンIl-76MDおよびTDなどの旅客機や貨物機、さらには中国空軍のH-6爆撃機やY-20輸送機にも採用されています。また、D-30IIやD-30PはTu-134のエンジンとしても使用されています。

エンジンの仕様

D-30KU-157の特性

• - 形式: 2軸式ターボファン（アフターバーナー非搭載）
• - 全長: 4.836 m
• - 直径: 1.46 m（57.3 in）
• - 乾燥重量: 2305 kg（5082 lb）

構成要素

• - 圧縮機: 軸流式、3段ファン/低圧圧縮機、11段高圧圧縮機
• - 燃焼器: カン型
• - タービン: 2段高圧タービン、4段低圧タービン

性能

• - 推力: 23,150 lbf（103 kN）
• - 全圧縮比: 17:1
• - 燃料消費率: 0.498 lb/lbf·hr
• - 推力重量比: 3.8:1

D-30エンジンは、その堅牢な性能と多目的性により、様々な機体での運用が実現しました。それは今なお航空技術の中で重要な役割を果たしています。

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