ソーターズ

グレナダ北部の港町ソーターズ：歴史と伝説が息づく場所

ソーターズ（Sauteurs）は、カリブ海に面したグレナダ北部のセント・パトリック教区に位置する港町です。その名は、フランス語で「跳躍者」を意味し、17世紀に先住民がフランスの植民地化に抵抗し、町の崖から身を投げたという悲しい伝説に由来します。この地は、美しいカリブ海の風景とともに、歴史の深さを感じさせる場所です。

集団自決の伝説と町の名前

1640年代、フランスの植民地化が進む中で、Kairouane酋長率いる先住民たちは、ソーターズの地でフランス軍に追い詰められました。抵抗むなしく、彼らは屈辱を避けるため、崖から身を投げて集団自決を選びました。この悲劇的な出来事が、フランス人によって「ソーターズ（跳躍者）」という名前で語り継がれることになったのです。

教会の変遷：カトリックから聖公会へ

1721年、ソーターズにはサン・パトリスカトリック教会が建設されました。しかし、1763年にイギリスがグレナダを占領すると、教会は聖公会に変わり、セント・パトリック教会と改名されました。その後、教会は火災で焼失し、跡地には警察署が建設されるという変遷をたどります。1840年になって、教会は別の場所に再建され、現在に至っています。この教会の歴史は、ソーターズの支配者が時代とともに移り変わったことを象徴しています。

貿易と反乱の舞台

ソーターズに隣接するアーヴィンス湾は、かつて本国との貿易拠点として栄え、砂糖や野菜などが輸出されていました。また、1790年代のフェドン反乱では、反乱軍によって街が包囲されるという事件も起きました。この時、街に閉じ込められた約2,000人の兵士は、イギリス海軍の船団によって無事避難しました。ソーターズは、平和な貿易港としてだけでなく、紛争の舞台ともなった歴史を持つ町なのです。

ソーターズは、カリブ海の美しい自然に囲まれながらも、先住民の悲劇的な伝説、教会の変遷、貿易と反乱の歴史など、様々な物語が刻まれた場所です。グレナダを訪れる際には、ぜひソーターズに足を運び、その歴史と文化に触れてみてください。

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