ソーヴィニヨン・ヴェール

ソーヴィニヨン・ヴェール：知られざる白ブドウ品種の魅力

ソーヴィニヨン・ヴェールは、別名ソーヴィニョナーゼ、フリウラーノとも呼ばれる、主にイタリアのフリウーリ地方で栽培されている白ブドウ品種です。その歴史は長く、一時はチリでソーヴィニヨン・ブランと混同されていたこともありました。ここでは、ソーヴィニヨン・ヴェールの特徴や歴史、栽培地域、そしてソーヴィニヨン・ブランとの違いについて詳しく解説します。

ソーヴィニヨン・ヴェールの歴史

ソーヴィニヨン・ヴェールの起源はヴェネト地方と考えられており、1600年代にはフリウーリ地方に伝わりました。イタリアでは長年、「トカイ」または「トカイ・フリウラーノ」という名前で知られていましたが、ハンガリーのトカイワインとの混同を避けるため、2007年にEUによって「トカイ」の使用が禁止されました。現在では、フリウーリ地方では単に「フリウラーノ」と呼ばれています。

イタリア以外では、スロヴェニアのゴリシュカ地方でも栽培されており、かつては「トカイ」と呼ばれていました。EUの禁止措置後、一時「ソーヴィニョナーゼ」または「ゼレニ・ソーヴィニヨン」と名称を変更しましたが、2013年以降は「ヤーコット（Jakot）」という名前で知られています。

また、ソーヴィニヨン・ヴェールはフランスを経由してチリに渡り、「ソーヴィニヨン・ブラン」として栽培されていました。1990年代になってようやく、チリの「ソーヴィニヨン・ブラン」が実際にはソーヴィニヨン・ヴェールであることが判明しました。その後、「本物の」ソーヴィニヨン・ブランの栽培が増え、ソーヴィニヨン・ヴェールの栽培は減少傾向にあります。

ソーヴィニヨン・ブランとの違い

ソーヴィニヨン・ヴェールは、ソーヴィニヨン・ブランとは異なる品種です。両品種は19世紀にボルドーで混在していたため、チリに持ち込まれた際に混同されたと考えられています。葉や果房が似ていることも、混同の原因となりました。

しかし、ソーヴィニヨン・ヴェールとソーヴィニヨン・ブランから造られるワインには明確な違いがあります。ソーヴィニヨン・ブランは、グースベリーやカシスのような熟した果実のアロマが強く、酸味も豊かです。一方、ソーヴィニヨン・ヴェールは、より穏やかで白い花のようなアロマを持ち、酸味は穏やかです。

ソーヴィニヨン・ヴェールの栽培とワイン

ソーヴィニヨン・ヴェールは、芽吹きが遅く、ベト病やうどんこ病にかかりやすい品種です。収穫量が多い傾向があるため、高品質なワインを造るためには収量調整が必要です。また、収穫時期がワインの品質を大きく左右します。収穫が早すぎると、特徴のないワインになってしまいます。

ソーヴィニヨン・ヴェールから造られるワインは、地域によって異なります。フリウーリ地方のフリウラーノやゴリシュカ・ブルダ地域のヤーコットは、通常フルボディで酸味が中程度、白い花のアロマと繊細な果実の香りが特徴です。チリのソーヴィニヨン・ヴェールは、若いワインには青リンゴのアロマがありますが、熟成とともに穏やかになり、ミディアムボディのワインになります。

ソーヴィニヨン・ヴェールの産地

ソーヴィニヨン・ヴェールの主な産地は、フリウーリ＝ヴェネツィア・ジュリア州とゴリシュカ・ブルダ地域です。フリウーリでは、コッリ・オリエンターリ・デル・フリウーリ、コッリオ・ゴリツィアーノ、フリウーリ・グラーヴェ、フリウーリ・イゾンツォなどのD.O.C.地域で広く栽培されています。また、ヴェネト州でも栽培されています。

まとめ

ソーヴィニヨン・ヴェールは、その歴史やソーヴィニヨン・ブランとの混同など、興味深い背景を持つ白ブドウ品種です。フリウーリ地方のフリウラーノやスロヴェニアのヤーコットなど、個性的なワインを生み出しています。もし見かけることがあれば、ぜひ一度味わってみてください。

別名: フリウラーノ、トカイ、ヤーコット、ソーヴィニョナーゼ

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