ソ連・ポーランド不可侵条約

ソ連・ポーランド不可侵条約

概要

ソ連とポーランドの間で交わされたこの不可侵条約は、1932年に締結されました。しかし、1939年9月に起こったソ連のポーランド侵攻によって一方的に破棄されることになります。この条約は、ポーランドがドイツやソ連から等距離の外交政策を取る旨で結ばれ、相互の関係を暴力で解決しないことを約束しました。

条約締結までの経緯

ポーランド・ソビエト戦争の後、ポーランド政府はドイツとソ連の双方に対して慎重な姿勢を保ち、「等距離」の外交政策を模索していました。ポーランドの政治家たちは、右派と左派のいずれも、第一次世界大戦以来続くフランスとの同盟関係に依存しており、ドイツとソビエトの援助には懐疑的でした。

この政策を背景に、ポーランドとソビエトの間で不可侵条約の策定が進められました。1926年から交渉が始まり、リガ平和条約を強化し、ドイツと同等の条約を結ぶことで、国際的なバランスを維持しようとする狙いがありました。しかし、ドイツとの交渉は難航し、1927年にポーランドとソビエトの交渉が一時中断された後、1928年にはケロッグ＝ブリアン条約を締結するに至りました。

最終的に、モスクワでの再交渉を経て、1932年7月25日に不可侵条約が結ばれました。さらに、1934年5月5日にはその有効期限が1945年12月31日まで延長される議定書が結ばれました。この条約は、両国が問題を交渉を通じて解決し、軍事力の行使を控えることを約束したものです。

条約締結後の状況

条約締結後の1938年に、ソビエト側からポーランド政府に対して脅迫が行われました。チェコスロバキア併合にポーランドが関与した場合、この条約は無効だとされたのです。しかし、実際にはこの脅迫は実行には移されませんでした。その後、ポーランドがテッシェンを占拠した際にも、条約は維持され続けました。

この期間中、ポーランドは外交的成功を収めたとされていましたが、ドイツとの関税戦争やヴェルサイユ条約の放棄、フランスとの関係の悪化が重なり、結果的にポーランドの状況は悪化してしまいます。これにより、ポーランドは新たなドイツ・ポーランド不可侵条約を結ぶに至ります。

条約の破棄とその背景

不可侵条約は、1939年9月17日にソ連のポーランド侵攻により破棄されました。ソ連側の主張として、ドイツ軍がポーランドに侵攻を開始した時点で国としてのポーランドが存在しなくなったため、条約は無効になるとのことでした。

このようにソ連・ポーランド不可侵条約は、当時の国際情勢や外交に大きな影響を与えましたが、結果적으로は第一次世界大戦後の複雑な国際関係の中で脆弱なものであったことが明らかになりました。

参考文献

• - Oleg Nikolayevich Ken (2003). Москва и пакт о ненападении с Польшей, 1930-1932 гг.
• - Jan Tomasz Gross (2003). Revolution from Abroad.
• - Edmund Jan Osmanczyk (2002). Encyclopedia of the United Nations and International Agreements.

関連項目

• - ソビエト・フランス不可侵条約
• - ドイツ・ポーランド不可侵条約
• - 独ソ不可侵条約
• - 日ソ中立条約

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