ゾーハル

ゾーハル（セフェール・ハ・ゾーハル）について

ゾーハル（זֹהר）は、ユダヤ教の神秘思想、特にカバラにおいて重要な役割を果たす文献であり、トーラーの註解書という位置付けを持っています。本書は主にアラム語で記され、多くの神秘的な概念や理論が展開されています。1280年から1286年の間、スペイン北東部カタルーニャ地方で発見された古代のアラム語の手稿により、その存在は初めて明らかになりました。

歴史的背景

ゲルショム・ショーレムによると、ゾーハルには2世紀頃のイスラエル地方で使用されていたアラム語のスタイルが見受けられます。それにも関わらず、本書はシモン・バル・ヨハイの講話記録に基づいているとされていますが、実際には13世紀のカバリストであるラビ・モーシェ・デ・レオンによる創作とされています。ゾーハルは、セフィロト、アダム・カドモン、数々の天使、そして異なる天国のコンセプトなど、ユダヤ神秘思想の核となる要素をまとめた文献です。

セフィロトと悪の概念

ゾーハルでは、「セフィロト」と呼ばれる神秘的な解釈が重要な主題の一つとされています。これは、神「アイン・ソフ」から流れ出る存在であって、宇宙の調和を保つための基盤となります。元々、原初の人間は10のセフィラから構成され、完全であるとされます。しかし、悪はこの宇宙的な調和を乱すものであり、これは「スィトラ・アフラ」と呼ばれ、新たな創造と破壊された旧世界の残存物に関連します。

ユダヤ人的運命と歴史観

もう一つのテーマは、現世と霊界におけるユダヤ人の運命です。ゾーハルは、世界の歴史を7000年間と見なしており、その内訳は旧約聖書の創世記に基づく6日間の創造に対応しています。そして、7000年目にはすべてが原初の状態に還るという考え方が存在します。このユダヤ暦では、紀元前3761年を起点とし、現在は世界の終末に近づいているとの見解に立たされています。

異なる文献との関連

ゾーハルは、16世紀のカバリストたち、特にモーゼス・コルドベロによって多くの註解を受けてきました。また、ゾーハル以前に存在した文献である「バヒル」との関連も強く、これはカバラ神秘思想の道を切り開く重要な役割を果たしていました。「バヒル」は悪の起源やセフィロトに関する理論などを含み、ゾーハルの思想に影響を与えています。

まとめると、ゾーハルはユダヤ教の神秘思想の中核を成す文献であり、カバラの発展やユダヤ人の宇宙観、倫理観において重要な位置を占めています。その思想は現代においても幅広く研究され、理解されています。

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