タイガー・スタジアム

タイガー・スタジアム：デトロイトの記憶

タイガー・スタジアムは、かつてアメリカ合衆国ミシガン州デトロイトに存在したスタジアムです。MLBのデトロイト・タイガースとNFLのデトロイト・ライオンズが本拠地として使用し、長年にわたりデトロイトのスポーツシーンを彩ってきました。

球場の歴史

タイガースは1896年からベネット・パークを本拠地としていましたが、木造建築であったため火災の危険性が高く、1911年のシーズン終了後に取り壊されました。その跡地に、鉄筋コンクリート製の新球場が建設され、1912年にネビン・フィールドとしてオープンしました。

その後、1937年には当時の球団オーナーの名前にちなんでブリッグス・スタジアムに改称。1938年からはライオンズも本拠地を移し、野球とアメリカンフットボールの二つのプロスポーツチームが同じスタジアムを使用するようになりました。1961年には、タイガー・スタジアムと再び改称され、長年ファンに親しまれました。

外野の広さの変遷

タイガー・スタジアムは、時代とともに外野の広さが変化しました。具体的な数値は以下の通りです。（単位：フィート。1フィートは約30.48センチメートル）

(具体的な数値は省略。元の記事に記載があればここに追記)

ファンによる球場保存運動

タイガー・スタジアムは、古き良き時代のボールパークとしての魅力があり、多くのファンに愛されていました。1972年に球団オーナーが多目的スタジアムへの移転計画を発表すると、ファンは猛反発。住民投票でも新球場への公金投入に反対する意見が多数を占め、最終的にこの計画は中止となりました。

1986年には、デトロイト市長がタイガー・スタジアムの取り壊しを示唆する発言をした際にも、地元紙の世論調査で約3分の2が反対しました。1988年には全米歴史的保存物に登録され、連邦政府の資金が取り壊しや建て替えに使えなくなるなど、ファンの熱意が球場を守る力となりました。

しかし、1990年代初頭に市が新球場計画を発表すると、世論調査ではミシガン州全体で6割、デトロイト市では4分の3が計画に賛成するという結果が出ました。これを受け、ファンクラブは市案とは別に独自の改築案を協議し、建築家を招いて設計を支援するなど、球場保存のために資金援助を行いました。これは、ベースボール史において非常に珍しい事例と言えるでしょう。しかし、ダウンタウンに建設される新球場を2000年から使用することが決定し、ファンクラブ案は実現しませんでした。

取り壊しと再開発

2006年6月、デトロイト市長がタイガー・スタジアムの取り壊しと再開発計画を発表。取り壊しは市の資金で賄われ、同年秋から始まりました。報道によれば、歴史的な球場の一部は再開発後も保存され、球場のグランドは公園となり、その周辺に商店街やコンドミニアムなどが建設される予定でした。

ポップカルチャーへの影響

デトロイト出身の人気ラッパー、エミネムが2009年に発表したシングル「Beautiful」のミュージックビデオには、取り壊し中のタイガー・スタジアムが登場し、その姿を記録しています。

主要な出来事

タイガー・スタジアムでは、数々の歴史的な出来事が繰り広げられました。

1912年4月20日：インディアンス戦で開場（タイガース 6 - 5 インディアンス）
1922年4月30日：シカゴ・ホワイトソックスのチャーリー・ロバートソンが完全試合を達成
1934年7月13日：ヤンキースのベーブ・ルースがメジャー史上初となる通算700本塁打を達成
1939年5月2日：ヤンキースのルー・ゲーリッグが欠場。連続試合出場記録が2,130試合でストップ
1941年7月8日：オールスターゲーム開催。レッドソックスのテッド・ウィリアムズが球宴史上初の逆転サヨナラ本塁打
1951年7月10日：オールスターゲーム開催
1952年8月25日：タイガースのバージャル・トラクスがヤンキース戦でノーヒットノーランを達成
1971年7月13日：オールスターゲーム開催
ワールドシリーズ開催：1934年、1935年、1940年、1945年、1968年、1984年
* 1999年9月27日：ロイヤルズ戦で閉場（タイガース 8 - 2 ロイヤルズ）

タイガー・スタジアムは、デトロイトのスポーツ史に深く刻まれた、人々の記憶に残る球場でした。

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