タイニー・パンクス

タイニー・パンクスは、1980年代の日本のヒップホップシーン黎明期に、その名を刻んだ伝説的なグループです。その活動は、単なる音楽活動に留まらず、ファッションやカルチャー全般にまで影響を及ぼしました。藤原ヒロシと高木完という、異なるバックグラウンドを持つ二人の才能が融合し、独自のサウンドとスタイルを創り上げたのです。

1985年、クラブDJとして活動していた藤原ヒロシと、ロックバンド「東京ブラボー」に在籍していた高木完によって、タイニー・パンクスは結成されました。当初は「TINNIE PUNX」と表記され、その後「TINY PANX」（Aはアナキズムの象徴である丸囲みA）へと変更されています。このグループ名の由来は、藤原ヒロシがロンドン滞在時に使用していたニックネームからきています。彼らは、いとうせいこうとの共同名義でアルバム『建設的』をリリースし、デビューを飾ります。また、近田春夫が主宰するBPMレーベルからは、12インチシングル『I Luv Got The Groove』を発表しました。この楽曲は、President BPMとのスプリット盤としてリリースされ、当時のクラブシーンで大きな話題を呼びました。

1988年には、中西俊夫、K.U.D.O.と共にクラブミュージック専門のインディペンデントレーベル「MAJOR FORCE」を設立。ここからシングル『LAST ORGY』をリリースし、その革新的なサウンドでシーンを席巻します。さらに、T.P.O.(Tiny Panx Organization)名義で、インスト作品も発表するなど、音楽的な幅広さを見せつけました。タイニー・パンクスの音楽活動は、ビースティ・ボーイズの初来日公演でオープニングアクトを務めるという、大きな舞台にも繋がりました。これは、彼らの音楽が国内外で高く評価されていた証と言えるでしょう。

音楽活動と並行して、タイニー・パンクスは、宝島やB-BOYといった雑誌でコラムを連載し、ヒップホップやレアグルーヴなどの最新音楽、そしてクラブ系ファッションの情報を発信しました。彼らの連載は、単なる音楽紹介にとどまらず、当時の若者たちのトレンドや価値観にも大きな影響を与えたと言えるでしょう。彼らは、音楽だけでなく、ライフスタイル全体を提案する存在として、多くの若者に支持されたのです。

1990年頃にグループは解散しましたが、メンバーはそれぞれの活動へと進みます。しかし、1996年には再結成を果たし、シングル『YESTERMORROW』を発表。これは、彼らのファンにとっては非常に嬉しいサプライズとなりました。この再結成は、タイニー・パンクスの音楽が、時を経てもなお色褪せない魅力を放っていることを証明した出来事と言えるでしょう。タイニー・パンクスが残した足跡は、日本のヒップホップ史において、非常に重要な意味を持ちます。彼らの革新的なサウンドとスタイルは、後のアーティストたちに大きな影響を与え、日本のヒップホップシーンの発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

ディスコグラフィー

シングル
NASU-KYURI / I Luv Got The Groove
FAITH, HOPE & CHARITY / DO the PUNK ROCK
LAST ORGY
YESTERMORROW

T.P.O.名義
Hiroshi's Dub / Family Stoned Beat
Hiroshi's Dub Remix
Tiny Panx Organization

アルバム
建設的（いとうせいこう&TINNIE PUNKS名義）

雑誌連載
LAST ORGY - 宝島
THE KING OF CROSS - B-BOY

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