タイム・ウォー

タイム・ウォー：ドクター・フーにおける宇宙規模の戦争

イギリスのSFドラマ『ドクター・フー』において、タイム・ウォーはタイムロードとダーレクという2大勢力による、宇宙を揺るがす大規模な戦争として描かれています。この戦争は、1996年のテレビ映画と2005年の新シリーズ放送間の出来事として設定されており、シリーズを通して断片的に言及されてきましたが、その全貌が明らかになったのは50周年記念スペシャル『ドクターの日』においてです。

戦争の発端：タイムロードとダーレクの宿命的な対立

タイム・ウォーの発端は、タイムロードとダーレクの長い歴史における対立に遡ります。ダーレクが宇宙を征服する可能性を予見したタイムロードは、ダーレクの創造を阻止しようと試みました。しかし、この試みは失敗に終わり、ダーレクはその後もタイムロードへの敵対行動を続けました。これらの対立が、最終的に大規模な戦争へと発展したのです。具体的な戦争の引き金となった出来事は明らかではありませんが、ドクターとダーレクの過去の衝突が、タイム・ウォーの遠因となったことは間違いありません。 平和条約締結の試みもあったものの、ダーレクによるガリフレイ侵攻計画など、数々の事件が勃発し、状況は悪化の一途を辿りました。

戦争の様相：宇宙を揺るがす混沌

タイム・ウォーの戦場や期間は明確にされていません。時空を超越した戦闘が行われていたことは明らかですが、宇宙全体が戦火に包まれたわけではありませんでした。様々な種族が巻き込まれ、タイムロードもダーレクも莫大な犠牲を払いました。ドクターは最前線で戦い、ガリフレイの主要都市アルカディア陥落も経験しています。戦闘は惑星ガリフレイだけでなく、宇宙の様々な場所で同時多発的に行われていたと考えられます。

8代目ドクターは、宇宙が破滅の危機に瀕している中で、戦争への参加を拒否し、人助けに専念していました。しかし、最終的には宇宙の運命を背負うことを決意し、ウォードクターとして戦いへと身を投じます。この過程で、彼は自分の名前を捨て、戦士としての道を歩むことを選びました。

ダーレクの創造主であるダヴロスも、タイム・ウォーにおいて重要な役割を果たしました。彼はダーレクを率いて戦い、様々な策略を巡らしていました。タイム・ウォーの激しさは、両陣営が時間を操り、無限に続く死の連鎖を生み出したほどでした。

タイムロードは戦争の長期化とともに攻撃性を増し、禁断の終末兵器であるオメガ武器庫の兵器を使用するようになりました。さらに、反逆者にしてドクターの宿敵であるマスターを復活させて戦力に加えるという、危険な決断も下しました。しかし、マスターはダーレクに支配されることを拒否し、人間として生き延びます。

タイムロードは絶望のあまり、アルティメット・サンクションと呼ばれる、宇宙全生命の絶滅をもたらす計画を実行しようとしていました。この計画は、時間そのものを犠牲にする、極めて危険なものでした。

戦争の終結：モメントとドクターの選択

タイム・ウォー最後の日に、ウォードクターは古代ガリフレイの終末兵器「モメント」を用いて、ガリフレイとダーレク艦隊を破壊しました。これにより、タイム・ウォーの時代はタイムロックされ、歴史への干渉が不可能となりました。しかし、ラシロンらタイムロードはタイムロックを解除しようと企て、幼少期のマスターを操ろうとしました。この企ては失敗に終わり、マスターの自決によってガリフレイは再びタイムロックされた時代へ戻されました。

最終的には、13人のドクターが力を合わせ、ガリフレイを宇宙から消滅させることでタイム・ウォーに終止符を打ちました。この出来事により、タイムロードとダーレクは壊滅的な打撃を受け、宇宙の勢力図は大きく変化しました。しかし、ドクターは、この戦いで自分の故郷と種族を滅ぼしたという罪悪感に苦しみ続けました。

タイム・ウォー後の宇宙：残された傷跡

タイム・ウォーは宇宙に多くの傷跡を残しました。タイムロードの消滅は、時間のパラドックスの増加や、歴史を管理する存在の不在といった問題を引き起こしました。ダーレクも完全に滅亡したわけではなく、生き残った個体が新たな脅威として復活し続けることになります。様々な種族がタイム・ウォーの影響を受け、その後の歴史に大きな変化をもたらしました。

タイム・ウォーは、シリーズ全体の連続性の矛盾を説明する便利な設定として機能しているとも考えられます。時間旅行による歴史改変や、多元宇宙の存在などが、この戦争によって説明されるケースが多くあります。

タイム・ウォーは、『ドクター・フー』の世界観を理解する上で欠かせない、重要な出来事です。宇宙規模の戦争とその余波は、ドクターの行動や、シリーズ全体の物語展開に大きな影響を与え続けています。

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