タイワンリス

タイワンリスについて

タイワンリス（台湾栗鼠、学名: Callosciurus erythraeus thaiwanensis）は、リス科に属する小型のリスで、アジア全域に広く分布するクリハラリスの台湾固有亜種です。かつては他のリスの亜種であるとの説もありましたが、台湾には異なる種は生息していないため、一般的にはクリハラリスの一亜種として認識されています。

形態

タイワンリスは、ニホンリスよりやや大きく、頭胴長は20-22cm、尾長は17-20cm、体重は約360g程です。その体毛は短く、背面は灰褐色、腹部は淡褐色または赤褐色を呈しています。また、背中には黒と黄土色の毛も混ざっています。

生態

このリスは昼行性で、普段は単独で行動しますが、幼い時期には群れで過ごすこともあります。木の間を1メートルほど跳び移ることができ、主に低山から亜高山帯に生息する常緑広葉樹林を好みますが、市街地の公園や寺院の周辺にも適応して生息しています。タイワンリスの鳴き声は、小型犬やアカゲラに似た「ワンワン」「クックッ」という音が特徴で、天敵が近づいた際には警戒音を発し、仲間に危険を知らせます。

食性は雑食性で、樹木の果実や種子、葉、花を主に食べますが、時には昆虫やカタツムリも捕食します。繁殖期には木の枝を利用して樹上に巣を作り、その巣は冬場には外から見えることもあります。この種は年に1-2回の繁殖を行いますが、繁殖回数には個体差があり、年に3回繁殖することもあります。

外来種問題

タイワンリスはもともと台湾に生息していましたが、日本では1935年に伊豆大島から逃げ出したことがきっかけで広がりを見せました。その後、神奈川県、静岡県、大阪府、和歌山県、長崎県、熊本県などに定着しました。日本における特定外来生物に指定されてからは、その影響が懸念されています。

特に1980年代以降、個体数が急増し、在来種のニホンリスとの競合が懸念されるようになりました。食害も問題となっており、例えば、コゲラやシジュウカラの巣を壊して雛や卵を食べる行動や、果樹や木の皮を食べることが報告されています。特に冬場には人間の周辺に現れることが多く、様々な被害が出ています。

神奈川県鎌倉市などでは、民家の天井裏に生息し、庭の果実をかじったり、電線をかじったりする被害が頻発しています。このため、1999年からは餌付けが禁止され、捕獲作業が行われるようになりました。捕獲数は年々減少傾向にありますが、依然として問題は残っており、長崎県では農作物や樹木の食害が報告され、駆除が進められています。

特に問題となるのは伊豆大島で、タイワンリスが送電線をかじることによる停電の危険性が高まり、これを防ぐために特別な皮膜で送電線が覆われることもあります。

最終的に、タイワンリスは2005年に特定外来生物に指定され、飼育が原則禁止されています。このような状況にもかかわらず、一部の地域では遊び目的で飼育されている場所も存在し、捕獲や駆除に対する取り組みが続けられています。

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