タウザー (猫)

スコットランドのクリーフ近郊に位置するグレンタレット蒸留所。この蒸留所で1963年4月21日から1987年3月20日まで生きた雌猫、タウザーは、「世界一ネズミを捕った猫」としてギネス世界記録にその名を刻み、広く知られています。

タウザーとネズミ

グレンタレット蒸留所はスコットランド最古の蒸留所の一つとして知られており、タウザーはそこで「ウイスキーキャット」として活躍しました。「ウイスキーキャット」とは、蒸留所内でウイスキーの原料である大麦をネズミや鳥などの害獣から守るために飼われる猫のことで、この習慣は多くの蒸留所で見られました。しかし、タウザーは生涯で28,899匹ものネズミを捕獲し、その功績がギネスブックに認定されたことで、一躍有名になりました。

この驚異的な記録は、タウザー自身による「自己申告」に基づいています。もちろん、タウザーが言葉で申告したわけではありません。彼女はネズミを捕獲すると、それを蒸留所のスタッフに見せに来る習性がありました。猫は一般的に、捕らえた獲物を飼い主に見せる行動をすることが知られています。スタッフは、ある時期からタウザーが持ってくるネズミの数を記録するようになり、その数が記録開始から28,899匹に達したのです。

タウザーとエリザベス2世

タウザーの誕生日は4月21日で、偶然にもエリザベス2世女王と同じ日でした。1986年、タウザーが23歳の誕生日を迎えた際、蒸留所のスタッフはエリザベス女王に、「同じ日に生まれたグレンタレット蒸留所のウイスキーキャット、タウザー」という名義でバースデーカードを送りました。すると、エリザベス女王から「（タウザーを人間の年齢に換算して）161歳の誕生日おめでとう」というメッセージが返送されたそうです。

タウザーの死後

タウザーの死後、グレンタレット蒸留所の2代目ウイスキーキャットとしてアンバーという猫が迎えられました。しかし、アンバーはネズミ捕獲に関してはあまり得意ではなかったようです。近年では、衛生上の問題からウイスキーキャットに対する規制も行われるようになり、アンバーは蒸留所のマスコットとして、蒸留所を訪れる人々に愛嬌を振りまいています。

タウザーの偉大な功績を称え、グレンタレット蒸留所には彼女の銅像が建てられました。今もなお、タウザーは蒸留所の象徴として、多くの人々に愛されています。

関連事項
ネコ
ウイスキーキャット
スコッチ・ウイスキー

参考文献
C・Wニコル『ザ・ウイスキー・キャット』ISBN 4-3092-5152-8

外部リンク
Purr-n-Fur UK: Towser and Barley, distillery cats
towser the glenturret distillery cat - タウザーの銅像写真

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