タウンミーティング (対話集会)

タウンミーティングとは、主に地域社会の課題や生活に関わる事柄について、住民と行政当局や政治家が直接対話する形式の集会を指します。参加者が自由に意見を述べたり質問したりすることができ、相互理解を深めることを目的として開催されることが一般的です。英語圏では、同様の名称を持つ地方自治制度と混同されるのを避けるため、「タウンホールミーティング（town hall meeting）」と呼ばれるのが一般的です。

この言葉は、1977年に当時のアメリカ大統領ジミー・カーター氏が開催した一連の対話集会に由来します。第一回はマサチューセッツ州クリントンで行われました。これらの集会は、大統領と一般市民がより親しみやすい雰囲気で直接語り合う場として企画されました。これは、過去のフランクリン・ルーズベルト大統領による「炉辺談話」のように、大統領個人に対する親近感を高める狙いがあったとされています。カーター大統領による取り組み以降、行政当局や政治家が主催する、形式ばらない「非公式」な雰囲気の中で、参加者が「対等な立場」で自由に発言できる会合や会見を指して「タウンミーティング」という名称が用いられるようになりました。近年では、顧客や従業員を重視する姿勢を示す目的で、民間企業が会議や説明会を「タウンホールミーティング」と称して開催する例も見られます。

日本において「タウンミーティング」の名称が広く知られるようになったのは比較的最近のことです。遡ること1979年、当時の東京都知事である鈴木俊一氏が、カーター大統領の試みに倣って「東京都タウンミーティング」を実施しましたが、この時点では一般的に定着しませんでした。転機となったのは1998年11月19日、TBSが放送した特別番組でした。これは、アメリカで当時大統領だったビル・クリントン氏が行っていたタウンミーティングを模した企画で、「NEWS 23スペシャル － クリントン米大統領があなたと直接対話」と題して放送されました。番組では、事前にインターネットやファックスで質問を募り、選ばれた一般視聴者が代表してクリントン大統領に直接質問するという形式が取られました。この番組を契機に「タウンミーティング」という言葉が日本国内でも認知されるようになり、一部の地方自治体や政治家が自身の集会にこの名前を冠するようになりました。同年には、TBSが当時の小渕恵三首相による同様の企画を検討しましたが、首相の意向は得られたものの、内閣記者会からの強い反対があり、日本の首相によるテレビ上でのタウンミーティングは実現しませんでした。その後も、2000年10月14日にはTBSが中国の朱鎔基首相との対話企画を実施しており（番組名に「タウンミーティング」は冠していないものの、告知などで使用）、この形式のテレビ番組は注目を集めました。

現在では、内閣府（「小泉内閣の国民対話」として実施）、外務省（ODAタウンミーティング）、環境省（浄化槽タウンミーティング）といった国の行政機関をはじめ、数多くの地方自治体が住民との対話の場として「タウンミーティング」あるいはそれに類する名称の集会を開催しています。また、自民党、立憲民主党（青空対話集会など）、公明党、日本共産党といった主要政党も、同様の形式の政治集会を実施しています。政治分野にとどまらず、日本オリンピック委員会（アスリート・タウンミーティング）、宇宙航空研究開発機構（JAXAタウンミーティング）、日本弁理士会（知的財産タウンミーティング）、米国食肉輸出連合会など、様々な組織や団体がその活動の一環として実施しています。

公的な機関が実施するタウンミーティングにおいては、その運営方法を巡る問題点が指摘されたこともあります。特に2006年秋には、当時の小泉内閣が主催した国民との直接対話と銘打たれたタウンミーティングにおいて、「やらせ」問題が発覚しました。具体的には、主催者側にとって都合の良い質問があらかじめ用意されていたり、参加者数を多く見せるために組織的に動員が行われたりした事例があったと報じられ、公正な対話の場としての性格が問われる事態となりました。

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