タカツルラン

タカツルラン (ツルツチアケビ)

タカツルラン（学名：Erythrorchis altissima）は、タカツルラン属に属する独特な菌従属栄養植物で、多年生のつる性植物として知られています。主に南九州の種子島以南から琉球列島、さらには台湾や東南アジア、ヒマラヤに広く分布しています。この植物は、特にスダジイの林に群生することが多く、長い地上茎を生かして樹木をよじ登る姿が特徴です。地上茎は極めて長く、最高で5メートルにも達します。

生態と環境

タカツルランは、特に常緑広葉樹林に多く見られ、スダジイが優占する環境で生育しています。赤褐色の地上茎には、退化した鱗片状の葉と気根が対になり、気根は樹幹に付着して成長します。この地上茎は多年性で、開花後も成長を続け、時には30メートルや36メートルに達した記録もあります。

タカツルランは、特定の内生菌と共生しており、地中の根からは木材を腐朽する担子菌が見つかります。また、外生菌根菌としてベニタケ属（Russula）も確認されています。これにより、タカツルランは周囲の環境に適応しながら成長する特徴を持ち、有機物の分解が進んだ倒木や生木など、様々な種類の樹木に着生することができると考えられています。

花と果実

タカツルランの花序は、茎の上部に腋生し、円錐状にたくさんの花をつけます。花被片は線状の長楕円形で、長さは1から1.5センチメートルほど。唇弁は船形で、上辺には微細な波状の歯があり、内側には肥厚したうねが見受けられ、毛が密生しています。果実は赤く熟し、観察によれば口永良部島では5月から6月に開花し、その年の11月には果実が色づき始め、最終的には壊れて種が飛び散ります。

絶滅危惧種の評価

日本国内において、タカツルランは環境省の5次レッドリスト（2025年3月）で「絶滅危惧IA類 (CR)」として認定されています。個体数が減少しつつあり、その生育地が脅かされているため、保護の必要性が高まっています。

分類

タカツルランが属するErythrorchis属は1837年にCarl Ludwig Blumeによって定義され、その名前は古代ギリシャ語の「erythros（赤）」と「orchis（ラン）」に由来しています。本属にはタカツルランの他にもErythrorchis cassythoidesという種があり、こちらはオーストラリア北部・東部のユーカリ林に分布します。この種も同様に緑葉を持たず、高さ5メートル以上の菌従属栄養植物として知られています。

タカツルランはその特異な生態と希少性から、研究の対象となり続けています。今後、さらなる保護活動が求められると言えるでしょう。

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