タスカローラ戦争

タスカローラ戦争の概要

タスカローラ戦争（1711年9月10日～1715年2月11日）は、アメリカのノースカロライナで行われた重要な戦争であり、白人植民者と先住民族タスカローラ族との間の深刻な対立を象徴しています。当時、ノースカロライナはイギリスの植民地であり、多くの白人入植者が新たな土地を求めて進出していました。その過程で、既にこの地域に住んでいたタスカローラ族の領土が侵害され、緊張が高まっていったのです。

背景

1653年にノースカロライナに入植が始まった際、タスカローラ族は白人入植者との平和的関係を築いていました。しかし、時間が経つにつれて、白人の入植者が次々と彼らの土地に侵入し、状況が一変します。タスカローラ族は二つの主要なバンドに分かれており、北部バンドはトム・ブラント酋長が、南部バンドはハンコック酋長が指導していました。そして、タスカローラ族は白人入植者からの襲撃や土地の喪失、さらに疫病の影響によって次第に追い詰められていきました。

この緊迫した状況の中で、南部バンドは白人入植者に対抗するために武力行使を決意しました。一方、北部バンドは戦争を避ける姿勢をとっていました。この時、白人入植者はインディアンの酋長を「部族指導者」と誤解し、彼らが持つ実際の権限を軽視していました。

戦争の勃発

1711年秋、南部タスカローラ族は他の部族と連携し、白人入植者に対する攻撃を開始しました。最初の攻撃は9月22日に行われ、瞬く間に広範囲にわたる入植者に対する襲撃へと発展しました。これに対抗するため、ノースカロライナ植民地の知事エドワード・ハイドは民兵を動員し、サウスカロライナからも支援を得て、反撃を開始します。

1712年には、南部タスカローラ族との激しい戦闘が展開され、結果的に大きな犠牲が生まれました。タスカローラ族は300名以上の戦士を失い、多くの女性や子供が捕虜となって奴隷として売られる運命にさらされました。

戦争の経過と結末

白人入植者はブラント酋長と交渉し、南部バンドを阻害させ、タスカローラ族に対して更なる圧力をかけました。この中で、ハンコック酋長が捕らえられ、処刑されるという悲劇も起こりました。1713年には、多くのタスカローラ族が捕虜となり、グリーン郡の砦でも大規模な戦闘が展開されました。

戦争が進む中、生き残ったタスカローラ族は北方へ移住を始め、最終的には1718年に入植者との条約に署名し、土地の利用を認められることになりました。しかし、彼らは故郷を追われ、新しい土地での生活に適応しなければなりませんでした。

最後に

タスカローラ戦争の結果、南部タスカローラ族はノースカロライナから追われ、これ以降の数十年間、彼らの残された土地は少しずつ白人によって奪われていきました。また、この戦争の後、彼らに協力したヤマシー族もサウスカロライナで別の戦争を引き起こすなど、アメリカにおける先住民族との対立は続いていくこととなります。タスカローラ族の歴史は、植民地時代における人々の複雑な関係を物語る重要な一章として、今日でも多くの人々に語り継がれています。

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