タチアナ・カザンキナ

タチアナ・カザンキナ：陸上界に輝く伝説の女性ランナー

タチアナ・カザンキナ（Tatyana Vasilyevna Kazankina）は、1951年12月17日、ソビエト連邦（現ロシア）のサラトフ州ペトロフスクで生まれました。彼女は、陸上競技選手として、その卓越した才能と不屈の精神で、数々の世界記録を樹立し、オリンピックの金メダルを3度獲得するなど、輝かしい功績を残しました。

1500mの歴史を塗り替えた瞬間

1976年、モントリオールオリンピックの約1ヶ月前、カザンキナは1500mにおいて、女子選手として史上初めて4分の壁を打ち破る3分56秒0の世界新記録を達成しました。これは、リュドミラ・ブラギナ（ソ連）が持つ従来の記録を5秒4も上回る、驚異的な記録でした。

カザンキナの勢いは止まりませんでした。モントリオールオリンピック本番では、800mと1500mの2種目で金メダルを獲得。特に800mでは、1分54秒94の世界新記録を樹立し、その名を世界に轟かせました。

伝説的な記録の数々

1980年、カザンキナはチューリッヒの1500mで、3分52秒47という自身の持つ世界記録をさらに更新しました。これは、かつて「フライング・フィン」と呼ばれた伝説のランナー、パーボ・ヌルミ（男性）の記録を上回るという、まさに歴史的な快挙でした。この記録は、その後13年間破られることはありませんでした。さらに、ヨーロッパ記録としては、2019年にハッサンによって破られるまで、実に39年間も保持され続けたのです。

突然の終焉

しかし、カザンキナの競技生活は、1984年に突然終わりを迎えます。パリで行われた1500mのレース後、薬物検査を拒否したとして、18ヶ月の出場停止処分を受けたのです。この処分により、彼女は第一線から退くこととなりました。

主な記録

800m - 1分54秒94 （1976年7月26日:モントリオール）
1500m - 3分52秒47 （1980年8月13日:チューリヒ）
* 3000m - 8分22秒62 （1984年8月26日:レニングラード）

タチアナ・カザンキナは、その輝かしい記録と、陸上界に与えた多大な影響により、今もなお多くの人々に記憶される伝説的なアスリートです。

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