タップ・ドッグス

『タップ・ドッグス』

2000年にオーストラリアで製作・公開された映画『タップ・ドッグス』（原題：Bootmen）は、同年開催されたシドニーオリンピックの開会式で力強いパフォーマンスを披露し、世界的に注目を集めたオーストラリアのダンスグループ「タップ・ドッグス」を題材にした作品です。

この映画は、「タップ・ドッグス」の主宰者であり、グループの振り付けも手掛けるデイン・ペリーが自らメガホンを取りました。物語は、ペリー自身の半自伝的な要素、特にプロのタップダンサーとしての成功に至るまでの道のりをベースにしながらも、創作的なフィクションとして恋愛や家族関係、具体的には父や兄との間に生じる確執といったドラマティックな展開を織り交ぜて描かれています。グループのマネジメントを務めてきたヒラリー・リンステッドがプロデューサーとして製作に携わっています。

ストーリー

物語の舞台はオーストラリアの工業都市ニューキャッスル。主人公は、鉄鋼所で働きながらもプロのタップダンサーになることを夢見る青年、ショーンです。彼は仲間と共にタップダンスに情熱を燃やしますが、彼を待ち受けているのは、夢を認めようとしない父親や、ことあるごとに対立する兄との軋轢、そして恋人との関係の変化といった様々な困難です。ショーンは、愛する人との絆や、家族との関係に悩みながらも、タップダンスへの強い思いを胸に、自身の道を切り開こうと奮闘します。映画は、タップダンスを通じて自己表現を追求し、困難を乗り越え成長していく若者の姿を、熱気あふれるダンスシーンを交えながらエネルギッシュに描いています。

主要キャスト

映画を彩る主要なキャストは以下の通りです。

ショーン（演：アダム・ガルシア / 吹替：浪川大輔）：物語の主人公。鉄鋼所で働く傍ら、タップダンサーとしての成功を強く願う青年。
リンダ（演：ソフィー・リー / 吹替：平松晶子）：ショーンの恋人。彼を支えつつも、複雑な関係に悩む。
ミッチェル（演：サム・ワーシントン / 吹替：檀臣幸）：ショーンの兄。弟の夢に対して批判的で、さらにリンダとの関係にも影響を与える。
ウォルター（演：ウィリアム・ザッパ / 吹替：後藤哲夫）：ショーンたちが集まるタップスタジオを経営する人物。
ゲイリー（演：リチャード・カーター / 吹替：長克巳）：ショーンとミッチェルの父。息子、特にショーンの選んだ道をなかなか受け入れられない。
ジョノ（演：マット・リー）：グループの若いダンサー。

その他にも、リンダの友人サラ（スージー・ポーター）、ミッチェルの商売敵ヒューイ（アンソニー・ヘイズ）、スタジオで指導するアンガス（クリストファー・ホーシー）、配管工とタップを両立させるコリン（アンドリュー・カルスキー）、ナイトクラブの用心棒デリック（リー・マクドナルド）といった個性的なキャラクターが登場し、物語を豊かにしています。

スタッフ

監督：デイン・ペリー
製作：ヒラリー・リンステッド
原案：デイン・ペリー、ヒラリー・リンステッド、スティーヴ・ワーランド
製作総指揮：デイン・ペリー
撮影：スティーヴ・メイソン
音楽：チェザリー・スカビスゼウスキー

エピソード

興味深いエピソードとして、劇中で弟ショーンを演じたアダム・ガルシアよりも、兄ミッチェルを演じたサム・ワーシントンの方が実年齢では3歳年下であるという点があります。役柄と実際の年齢が逆転している点が、演じる上で興味深い要素となっています。

『タップ・ドッグス』は、本物のタップダンサーであるデイン・ペリーが自身の経験を基に作り上げた、タップダンスの魅力と青春の輝き、そして家族の絆を描いた感動的な作品です。熱気あふれるダンスシーンと、登場人物たちの人間ドラマが融合し、観る者に力強いエネルギーを与えます。

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