タツナミソウ属

タツナミソウ属に関する詳細

タツナミソウ属（Scutellaria）はシソ科に属し、約200種類が存在する植物グループです。この属は世界中に広がっており、日本でも多くの種が見られます。その特性として、花の独特な形が挙げられ、多くは観賞用として栽培されています。特に日本の種では、筒状で先端が膨らみ、全体的に上部が丸い形状の花を咲かせるのが一般的です。

花の特徴

タツナミソウ属の花は、基部が横に広がってから上に向かって曲がっており、その先端は再び水平に広がる形状をしています。このような花が穂状に多数集まり、同じ方向を向いている様子は、波のような形を連想させることから「タツナミソウ」という名前が付けられました。ただし、タツナミソウ属の中には花がまっすぐに水平に伸びるタイプもあり、これらは「ナミキソウ」として知られています。特にこの種は、変異が多いため、同定が難しいとされています。

日本に分布する主な種

日本には多くのタツナミソウ属の種が自生しています。以下はその一部です：

• - ヤマジノタツナミソウ (Scutellaria amabilis H.Hara)
• - オカタツナミソウ (Scutellaria brachyspica Nakai et H.Hara)
• - ヒメナミキ (Scutellaria dependens Maxim.)
• - シコクタツナミソウ (Scutellaria epunctata A.Takano et Yahara) - 2025年新種記載、徳島県、香川県、愛媛県に分布。
• - コナミキ (Scutellaria guilielmii A.Gray)
• - タツナミソウ (Scutellaria indica L.) - 本州、四国、九州の草原や林に自生し、春から初夏にかけて花を咲かせる。
• - コバノタツナミ (Scutellaria indica L. var. parvifolia (Makino) Makino)
• - ホクリクタツナミソウ (Scutellaria indica L. var. satokoae Wakasugi et Naruh.)
• - ハナタツナミソウ (Scutellaria iyoensis Nakai)
• - キビノタツナミソウ (Scutellaria kibiensis A.Takano et Yahara) - 2025年新種記載、岡山県、広島県、島根県、鳥取県に分布。
• - ヒメタツナミソウ (Scutellaria kikai-insularis Hatus. ex T.Yamaz.)
• - ツクシタツナミソウ (Scutellaria kiusiana H.Hara)
• - ヤクシマシソバタツナミ (Scutellaria kuromidakensis (Yahara) T.Yamaz.)
• - シソバタツナミ (Scutellaria laeteviolacea Koidz.) など、その他にも多くの種が存在します。

外国の帰化種

また、外国から帰化した種としてもいくつかのタツナミソウ属が知られています。例えば、コガネバナ (Scutellaria baicalensis Georgi) は中国などに自生する多年草で、漢方では「黄ごん」と呼ばれ、非常に有用な生薬の一つです。他にも、ブルースカルキャップ (Scutellaria lateriflora) や マーシュスカルキャップ (Scutellaria galericulata) は、天然ハーブとして抗不安薬の効果が期待される植物です。これらはそれぞれの地域での生態や利用方法が異なります。

参考文献

• - 佐竹義輔ら編『日本の野生植物 草本Ⅲ 合弁花類』、1981年、平凡社
• - 米倉浩司・梶田忠「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
• - 高野温子ら「日本産シソ科タツナミソウ属(Scutellaria)から見出された2新種，シコクタツナミソウとキビノタツナミソウ」、『植物研究雑誌』第100巻第3号、ツムラ、2025年、215-225頁。

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