タデウシュ・シェリゴフスキ

タデウシュ・シェリゴフスキは、1896年9月13日に現在のウクライナ、リヴィウ（当時のオーストリア＝ハンガリー帝国レンベルク）で生まれたポーランドの作曲家です。彼はまた、優れた教育者、熱心な指揮者、そしてポーランドの音楽界をまとめ上げるリーダーとしても、その生涯を音楽に捧げ、多大な功績を残しました。1963年1月10日にポズナンで逝去しました。

教育と初期のキャリア

幼い頃から音楽への才能を示し、母親から最初のピアノの手ほどきを受けました。その後、地元の音楽学校に進み、ヴィレーム・クルツらに師事し、音楽の基礎を固めます。

高等教育は多岐にわたり、まずクラクフのヤギェウォ大学で1918年から1922年にかけて法律を学びました。並行して、1921年から1928年には同大学で音楽学と作曲を深く掘り下げ、これらの分野で博士号を取得するという異色の経歴を持っています。

さらなる研鑽のため、1929年には音楽の中心地であるパリに渡り、当時の最も influential な音楽家として知られるナディア・ブーランジェとポール・デュカスから指導を受けました。このパリでの学びは、彼の作曲スタイルに大きな影響を与えたと考えられます。

学業の傍ら、既に教育者としてのキャリアをスタートさせていました。1923年にビリニュスに移住した後、1925年から1927年にはビリニュス音楽院で音楽史の教鞭をとり、後進の育成に携わります。

戦前・戦後の活動

パリでの留学を終え、1931年にポーランドに帰国すると、ポズナン音楽院で音楽理論と作曲の教授として迎えられ、精力的に教育活動を展開しました。

第二次世界大戦中は困難な時期でしたが、ビリニュスの教会でオルガニストを務め、音楽との関わりを絶やしませんでした。

戦後、ポーランドの音楽界の復興と発展に中心的な役割を果たしました。1945年にはルブリン音楽院の教授に就任し、1947年にはポズナンオペラアカデミーの学長に迎えられるなど、音楽教育機関の要職を歴任しました。

教育・管理職だけでなく、演奏活動も積極的に行い、ポズナン管弦楽団を指揮するなど、パフォーマーとしても才能を発揮しました。また、ポーランドの作曲家たちの権利擁護と交流促進のため、1951年から1954年までポーランド作曲家連盟の議長を務めるなど、音楽界全体の組織的な発展にも貢献しました。

主要作品

シェリゴフスキの作品は多岐にわたりますが、特に以下の作品が知られています。

管弦楽のための協奏曲 (1930)
ピアノ協奏曲 (1941)
ノクターン (1947)
喜劇的序曲 (1952)
* 4つのポーランド舞曲 (1954)

タデウシュ・シェリゴフスキは、作曲家としての創作活動に加え、優れた教育者、熱心な指揮者、そしてポーランド音楽界をまとめ上げるリーダーとして、その生涯を音楽に捧げました。彼の多様な才能と活動は、戦前戦後を通じてポーランドの音楽文化の発展に不可欠なものでした。

もう一度検索