タフピッチ銅

タフピッチ銅 (TPC) について

タフピッチ銅（Tough-Pitch Copper, TPC）は、純度99.9%程度（3N以下）の銅であり、電気伝導材料として広く利用されています。その優れた特性から、様々な産業分野で重要な役割を果たしています。

特徴

タフピッチ銅は、以下の点で優れた特性を持っています。

高い電気伝導性: 純銅の中でも特に電気伝導性に優れており、電気配線や電子部品に最適です。
優れた熱伝導性: 熱を効率良く伝えるため、ヒートシンクや熱交換器などにも利用されています。
良好な絞り加工性: 比較的容易に加工できるため、様々な形状に成形することが可能です。
高い耐食性・耐候性: 環境の変化に強く、腐食しにくい性質を持ちます。

注意点

タフピッチ銅には、微量の酸素が残留しているという特徴があります。この残留酸素が、600℃以上の高温下で水素と反応し、水素脆性を引き起こす可能性があります。水素脆性とは、金属が水素を吸収して脆くなる現象であり、製品の強度や耐久性を著しく低下させる要因となります。そのため、高温環境下での使用には注意が必要です。

詳細情報

銅合金番号: C1100
成分: Cu 99.90%以上
引張強さ: 245～315N/mm²
伸び: 15.0%以上
硬さ: 75.0～120.0HV

用途

タフピッチ銅は、その優れた特性から、以下のような幅広い用途で使用されています。

電気配線
電子部品
ヒートシンク
熱交換器
建築材料
その他、様々な工業製品

関連情報

タフピッチ銅の他に、以下のような高純度銅も存在します。

無酸素銅 (OFC): 酸素含有量を極限まで減らした銅で、より優れた電気伝導性や加工性を持ちます。
ハイクラス無酸素銅 (Hi-OFC): 無酸素銅の中でも特に高品質なもので、オーディオケーブルなどに使用されます。
線形結晶無酸素銅 (LC-OFC): 結晶構造を制御することで、さらに電気伝導性を高めた無酸素銅です。
* 単結晶状高純度無酸素銅 (PC-OFC): 結晶構造を単結晶化した、非常に純度の高い無酸素銅です。

これらの銅は、タフピッチ銅よりも高価ですが、より高品質な製品や特殊な用途に使用されます。

まとめ

タフピッチ銅は、優れた電気伝導性、熱伝導性、絞り加工性、耐食性を備えた汎用性の高い銅です。しかし、高温下での水素脆性のリスクを考慮して使用する必要があります。用途に応じて適切な銅を選択することが重要です。

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