タブリーズのバザール

タブリーズのバザール：歴史と文化が息づく巨大商業空間

タブリーズのバザールは、イラン北西部、タブリーズの中心部に位置する歴史的な商業施設です。その起源は古く、中東最古のバザールの一つであり、世界でも最大級の規模を誇ります。2010年にはユネスコの世界遺産に登録され、その文化的、歴史的な価値が世界的に認められました。

交易の交差点としての歴史

タブリーズは、古くから東西交易の要衝として栄えてきました。その中心に位置するタブリーズのバザールは、様々な地域からの商品が集まる場所として、経済・文化交流の重要な役割を果たしてきました。アミール・バザール（金・宝石）、モッザファリーエ・バザール（ペルシャ絨毯）など、扱う商品ごとに分かれた複数のバザールが複合的に構成され、多様なニーズに応える商業空間を形成しています。

イラン史における重要な役割

タブリーズのバザールは、単なる商業施設としてだけでなく、イランの歴史においても重要な役割を果たしてきました。19世紀のタバコ・ボイコット運動では、タバコ生産の中心地であったタブリーズの住民が、ナーセロッディーン・シャーに対し、イギリスへの利権供与の破棄を求めました。また、イラン立憲革命の際には、西欧の新しい政治思想をいち早く吸収したタブリーズにおいて、立憲派のタブリーズ・アンジョマンが結成され、革命運動を牽引しました。

現在も息づく活気

今日でもタブリーズのバザールには新しい店舗が次々とオープンし、イラン北西部の経済の中心地としての役割を果たし続けています。迷路のように入り組んだ通路には、所狭しと商品が並び、活気あふれる商人の声が響き渡ります。観光客にとっても魅力的なスポットであり、イランの文化や人々に触れることができる貴重な場所となっています。

火災と復興

2019年5月には大規模な火災が発生し、多くのお店が被害を受けました。しかし、地元の人々の努力により、バザールは復興に向けて動き出しています。歴史的な建造物の保護と、現代的な商業活動の両立が課題となっています。

宗教的な側面

タブリーズのバザールは、宗教的な行事が行われる場所でもあります。特に、シーア派の重要な行事であるアーシューラーの期間中は、10日間商取引を停止し、宗教的な儀式が執り行われます。また、バザールの後背地にはジャメー・モスクが建設されており、宗教的な中心地としての役割も担っています。

タブリーズのバザールは、単なる市場ではなく、歴史、文化、宗教が融合した生きた博物館です。訪れる人々は、その活気と歴史の重みに圧倒され、忘れられない経験をすることでしょう。

もう一度検索