タマバエ

タマバエとは

タマバエは、ハエ目（双翅目）タマバエ科（Cecidomyiidae）に分類される昆虫の総称です。世界中で約4600種以上が確認されており、多様な生態を持つグループです。名前こそ「ハエ」とついていますが、分類学的にはカに近い仲間とされています。

特徴

タマバエの成虫は、体長が1mmから3mm程度と非常に小型なものがほとんどです。触角が長く、翅は毛で覆われているのが特徴的です。その小さな体で、様々な環境に適応して生きています。

生態

タマバエの生態は多岐に渡ります。多くの種は外部寄生性であり、幼虫が他の昆虫（特にハチ目）や植物に寄生して成長します。植物に寄生する種は、虫こぶを形成することがよく知られています。これは、タマバエの幼虫が植物組織を刺激し、異常な成長を引き起こすことによって作られます。また、Mycophila属の種などでは、幼生生殖を行うものがいることも特筆されます。

人間との関わり

タマバエは、人間にとって有益な面と有害な面の両方を持っています。

生物的防除

農作物に被害を及ぼすハチなどの天敵となるタマバエは、生物的防除に利用されることがあります。特に有名なのは、ショクガタマバエ（Aphidoletes aphidomyza）です。この種は、アブラムシなどの害虫を捕食するため、温室などで積極的に導入され、その防除効果が認められています。

農業害虫

一方で、植物の葉などを利用して虫こぶを形成するタマバエは、農作物や花卉に被害をもたらすため、農業害虫として扱われます。ヘシアンバエは、コムギやオオムギに深刻な被害をもたらすことで知られています。また、ランツボミタマバエ（Contarinia maculipennis）は、デンドロビウムやファレノプシスなどの洋ランに寄生し、花の生育を阻害します。さらに、キノコを食べる種も存在し、キノコ栽培場では害虫として扱われることがあります。

分類

タマバエ科は、以下の3つの亜科に分類されます。

Cecidomyiinae亜科：タマバエ科の約8割を占める最大のグループです。
Lestremiinae亜科：タマバエ科の約1割が所属します。
Porricondylinae亜科：タマバエ科の約1割が所属します。

これらの亜科は、さらに複数の族に細分化されています。

Cecidomyiinae亜科の主な族

Alycaulini
Aphidoletini
Asphondyliini
Brachineurini
Cecidomyiini
Clinodiplosini
Kiefferiini
Lasiopterini
Ledomyiini
Lestodiplosini
Mycodiplosini
Oligotrophini
Rhizomyiini
Trotteriini

Lestremiinae亜科の主な族

Acoenoniini
Baeonotini
Campylomyzini
Catochini
Catotrichini
Forbesomyiini
Lestremiini
Micromyini
Peromyiini

Porricondylinae亜科の主な族

Asynaptini
Diallactiini
Dicerurini
Dirhizini
Heteropezini
Porricondylini
* Winnertziini

タマバエは、その多様な生態と人間との複雑な関わりを持つ、興味深い昆虫です。

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